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ケイデンスが計算分子設計のパイオニアリーダーであるOpenEye Scientificの買収により分子シミュレーションに進出

2022.7.28  4:31 pm

買収によりケイデンスのcomputational softwareの専門知識を分子モデリングおよびシミュレーションに活用、医薬的およびバイオ医薬品の発見に注力

ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社 米国カリフォルニア州サンノゼ市、以下ケイデンス)は、7月25日(米国時間)、製薬会社やバイオテクノロジー企業の創薬に広く用いられ、使用が増えている計算分子モデリングおよびシミュレーションソフトウェアのリーディングプロバイダーである株式非公開のOpenEye Scientific Software, Inc.を買収する契約を締結したことを発表しました。
      
OpenEyeのテクノロジーおよび深い科学的専門知識を備えた経験豊かなチームが加わることにより、ケイデンスのIntelligent System Design™戦略を加速し、TAM (Total Addressable Market: 獲得可能な最大市場規模) を拡大します。また、ケイデンスのcomputational softwareに関する専門知識を生かし、実績あるアルゴリズム、シミュレーション、ソルバーの進歩を生命科学に応用します。
      
科学技術の進歩が、さまざまな疾患の新薬の需要増大と相まって、計算薬物設計に対する需要を推進しています。薬理学、化学合成、薬剤スクリーニングのための創薬において分子の3D構造の研究においてコンピューター手法の利用が増え続けていることは、世界的なバイオシミュレーション市場の成長を促進するための重要な要因です。この市場は推定20億ドルのTAMがあり、今後5年にわたって約15%のCAGR (Compound Annual Growth Rate: 年複利成長率) があると予測されています。
     
バイオシミュレーションは、分子間相互作用に対する原子レベルの洞察を提供するため、分子薬学研究に重要なツールです。また、より大きい生体系をさらに長期間にわたりシミュレーションするための高い性能に対する需要が高まっています。
      
ケイデンスは同社のIntelligent System Design戦略を継続して実行しており、computational softwareの専門知識を活用してシステム解析空間へ拡大し、ハイテクエレクトロニクス、航空宇宙および防衛、自動車分野の電磁界、熱、数値流体力学 (CFD) の課題に対処することに成功しています。 現在ケイデンスは生命科学をターゲットとする分子モデリングおよびシミュレーションにcomputational softwareのコアコンピテンシーを延長しています。
     
計算分子設計で業界をリードするOpenEyeは、物理学ベースの手法およびクラウドネイティブOrion® Software Platformの先駆者として、人間の健康の増進を加速してきました。本買収により、創薬のためのOpenEyeの革新的な分子モデリングおよびシミュレーションソフトウェアソリューションをケイデンスのアルゴリズム、ソルバーの専門知識、効率的な大規模データ管理インフラストラクチャー、最先端AI/MLおよびクラウドソリューションと組み合わせた、よりロバストな創薬ソリューションのメリットを製薬会社およびバイオテクノロジー企業に提供します。
      
OpenEyeの製品は、PfizerやAstraZenecaをはじめとする世界の大手製薬会社20社のうち19社で利用されており、多くのバイオテクノロジー企業や学術機関でも使用されています。Orion、OpenEyeの市場をリードするクラウドネイティブSaaS (software-as-a service) プラットフォームは、製薬会社およびバイオテクノロジー企業が、その柔軟性と大規模で複雑な分子計算を行うためのスケーラビリティを活用しており、急速に成長しています。
       
ケイデンス・コメント
Dr. Anirudh Devgan(President and CEO)
「創薬は、研究開発に大型投資が必要となるますます複雑なプロセスになっています。科学的に検査された手法と専門知識を備えたOpenEyeの買収が進行中であり、生命科学という新しい分野への進出により、ケイデンスのIntelligent System Design戦略を加速します。ケイデンスのcomputational softwareの深い知識は、信頼性、効率性、分子シミュレーションの速度を向上するアルゴリズムのさらなる革新を促進します。我々は、優れたチームを迎えることを楽しみにしており、革新を加速し、製薬およびバイオテクノロジー業界において研究開発の生産性を向上できることを嬉しく思います。」
      
OpenEye Scientific社コメント
Dr. Anthony Nicholls氏(CEO)
「我々は、コンピューターによる創薬でできることの限界を広げるためにOpenEyeを設立しました。当社の3D検索技術、プログラミングツールキット、さらに最近は、クラウドプラットフォームOrionが25年以上業界をリードしてきました。ケイデンスに加わり、さらに大きな規模と精度を追求できるこの機会はただただ素晴らしいです。我々は今後、モダリティを問わずコンピューターによる薬剤設計が主流になると予測しています。我々の技術とケイデンスのリソースそして専門知識によるこの目標の実現は、人間の健康に大きな影響を与えていきます。」
      
正式契約の条件に基づき、ケイデンスは約5億ドルを現金で支払います。本買収は、今年度の収益にほとんど寄与せず、2023年度には約4000万ドルの収益を見込んでいます。
       
Hart-Scott-Rodino規制の審査が完了し通常の買収完了条件を満たすことを条件として、2022年度第3四半期の買収完了を予定しています。
       
OpenEye Scientific社について
OpenEye Scientificは、迅速かつ堅牢で拡張性の高いソフトウェア、ツールキット、テクノロジー、デザイン・サービス、そしてAmazon Web Services上で動作する唯一のクラウドネイティブな完全統合SaaS型分子モデリング・プラットフォームOrionによる計算分子設計の業界大手企業です。オープンな開発プラットフォームで、無制限の計算とストレージ、データ共有、可視化、解析のための強力なツールを組み合わせたOrionは、医薬品、生物製剤、農薬、香料などの進歩にかつてない能力を提供します。1997年に設立されたOpenEye Scientificは、米国ニューメキシコ州サンタフェに本社を置き、ボストン、ケルン、東京にオフィスを構える非上場企業です。
www.openeye.inc
      
ケイデンス
cadence.com