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ケイデンスがAIによる電子システムの最適化を実現するOptimality Explorerを発表、システム設計を革新

2022.6.9  4:02 pm

画期的な新技術により、従来手法に比べデザインの最適化を平均10倍高速化

ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社 米国カリフォルニア州サンノゼ市、以下ケイデンス)は、6月8日(米国時間)、電子システムのマルチフィジックス解析および最適化 (MDAO: multi-disciplinary analysis and optimization) を実現するCadence® Optimality™ Intelligent System Explorerを発表しました。
       
ケイデンスは、既にシミュレーション技術において革命を起こし、画期的な性能と精度を提供する製品を世に送り出してきました。昨年革新的な新製品Cadence Cerebrus™ Intelligent Chip Explorerの提供を開始しましたが、さらに最適化技術にも注力しており、今回Optimality Explorerを発表しました。Optimality Explorerは、Cadence Cerebrusと同様のAI技術を活用し、従来の手作業による設計に比べ平均10倍、一部の設計では最大100倍高速に設計の最適化を実現し、画期的な成果を挙げています。業界初となるAIを導入したMDAOを実現するマルチフィジックスシステム解析ソリューションであるOptimality Explorerを市場に提供することにより、ケイデンスのシステム解析におけるリーダーシップをさらに強化します。
       
Optimality Explorerは、最初に、ケイデンスの3次元電磁界(EM)解析ツールClarity™ 3D Solverと高速シグナルインテグリティ(SI)/パワーインテグリティ(PI)解析ツールSigrity™ Xテクノロジと連携します。新技術であるOptimality Explorerにより、ClarityとSigrity Xのソルバーは、設計空間全体の探索が可能となり、迅速かつ効率的に最適な結果に収束させることで、生産性と設計効率を大幅に向上させることを可能にします。

Optimality Intelligent System Explorerの特長は以下の通りです:

  • デザイン見通し:最適な電気的性能を迅速に決定し、最適ではない局所解に陥ることを回避することが可能。さらに、バリエーションマッピングにより、設計空間全体を検討し、探索することも可能
  • 生産性の向上: 設計エンジニアやチームによる最適なシステムレベル設計を効率的に実現。パラメータのテーブルを手作業によって総当り的に検討する手法と比較して、平均で10倍、設計によっては最大100倍のスピードアップを実現
  • 使い易いインターフェース: フレキシブルなインターフェースの採用により、設計者はClarityおよびSigrity X環境からOptimality Explorerを起動し、即座にMDAO機能を実行可能
  • 拡張可能なソリューション: AIによる最適化をケイデンスのマルチフィジックス解析テクノロジに拡張し、シミュレーション、最適化、サインオフにまたがる包括的な演算ソフトウェア(computational software)ソリューションを構築

ケイデンス・コメント
Ben Gu (vice president of R&D for the Multiphysics System Analysis Business Unit)
「システムレベルでの最適化は、長年にわたり、設計/試作/テスト/改良、そして最終的な製造段階まで人手に頼ったワークフローに基づいて行われており、極めて非効率的なものでした。Optimality ExplorerがサポートするMDAO機能により、ICからパッケージ、PCB、システムに至るまで、システムレベルの最適化をわずかな時間で、しかもケイデンスが誇る最高水準の精度で実行することが可能になりました。」
      
Ambarella社コメント
Alan Zhu氏(VP of Hardware)
「高速パッケージの設計においては、テープアウト前に設計を最適化することがコスト的にも性能的にも有効なプロセスです。DDR パッケージの最適化プロセスにおいて、ケイデンスの Optimality Explorer と Clarity 3D Solver を使用することで、設計条件を満たす最適なパラメータ設定を見つけ出すまでの期間を大幅に短縮することができ、市場投入までの時間を短縮するとともに、より高性能なソリューションの提供を可能にしてくれました。」
      
Baidu社コメント
Canghai Gu氏(chief chip architect of Kunlunxin)
「Clarity 3Dソルバーは、次世代AIチップ ”Kunlunxin” の開発プロジェクトを通じて、比類ないスピードとキャパシティ、そして実証された精度を提供してくれました。私たちは高速チャネルのモデリングと最適化には、Clarity 3D Solverを利用しています。そして今、ケイデンスの Optimality Explorer を使用することで、送電線性能の最適化にかける時間を数時間から数分に短縮することが可能になっています。高速差動ペア配線制約の物理パラメータを、従来の方法論よりもはるかに高速にチューニングすることができました。短縮された時間を設計の他の部分の最適化に充当し、すべての重要なインターフェースを最高のパフォーマンスで動作させることができるようになります。」
      
MediaTek社コメント
Aaron Yang氏 Howard Yin氏(design directors)
「MediaTekは、SerDesの設計と技術におけるリーダーです。Cadence Optimality ExplorerとClarity 3D Solverのおかげで、最近の112G PAM4 SerDesプロジェクトでは、75%の性能向上を実現することができました。ケイデンスの画期的なAIベース最適化技術により、最適なリターンロス、インサーションロス、TDR波形を迅速かつ効率的に決定することが可能になり、その結果、設計チームの生産性が加速し、最終製品の成功につながりました。」
      
Microsoft社コメント
Kyle Chen氏(Principal Hardware Engineer)
「Cadence Optimality Intelligent System Explorer をいち早く採用した私たちは、複数のビア構造と伝送線路を持つリジッドフレキシブル基板 におけるパフォーマンスをさらに改善することができました。Optimality ExplorerがサポートするAI最適化により、他の方法では実現できなかった斬新な設計や方法論を発見することができました。Optimality Explorerは、強力なClarity 3Dソルバー技術にインテリジェンスを追加し、効率の向上およびパフォーマンス目標の達成を可能にしてくれます。」
       
Optimality Explorerについての詳細
http://www.cadence.com/go/optimality