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横田英史の読書コーナー

マシンエイジ〜AI時代に人間らしく働くということ〜

ロバート・スキデルスキー、筑摩書房

2026.5.27  5:12 pm

 産業革命にはじまる機械文明を人類はどのように考え、どのように対処したかを、経済史の大家でありケインズ研究の泰斗が歴史的・哲学的・経済学的に考察した書。AI(人工知能)と資本主義によってもたらされる人類の未来はあまりに危ういと警鐘を鳴らす。西洋文明は科学によるユートピアに取り憑かれたものの、その夢は次第に不快になっていったと主張する。
      
 ロボットについては、自前の脳をもてるかどうかよりも心を持てるかどうかが問題だと強調する。人間がロボットのように賢くなることではなく、人間がロボットのように愚かになり、アルゴリズムとブラックボックスに飼いならされることに危機感を抱く。また機械文明の真の勝者はスーパーセレブやIT長者であり、イーロン・マスクやレイ・カーツワイル、デミス・ハサビスらの登場や行動は、科学的野望や権力追求、強欲が織りなす物語の新バージョンだと断じる。
      
 定期的な仕事やホワイトカラー業務の自動化が進むにつれて、機械化によって出現した中流階級は空洞化した。「てっぺんにいる人には楽しい仕事。それ以外のすべての人にはうんざりする仕事」といった状態に陥る。不満分子や絶望した人々が多数を占める社会はポピュリストたちの餌食になると断言する。ちなみにメインタイトルやサブタイトルを見てAIに関する書だと早合点するとガッカリするかもしれない。AI関連に割くのは全400ページの4分の1ほどなので要注意である。

書籍情報

マシンエイジ〜AI時代に人間らしく働くということ〜

ロバート・スキデルスキー、筑摩書房、p.400、¥3300

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。