横田英史の読書コーナー
創って学ぶCPUの基本〜3bitプロセッサを設計しながらゼロから仕組みを理解する〜
檀上京之介、日経BP
2026.5.6 5:06 pm
過剰なほど懇切丁寧に3ビットCPUの動作原理と自作プロセスを解説した書。2進法や論理回路の基礎から説き始め、コンセプト設計から仕様設計、ブロック図、回路設計、基盤設計に至る設計プロセス、SSIやMSIレベルのICを使ったALUの構築を解説するなど実に面白い。ブラザー工業のハードウエア設計者の著者は、豊富な図を使いながらステップバイステップで設計手順を紹介する。これだけ丁寧なら初学者でも落ちこぼれる心配は少ないだろう。「ゼロから仕組みを理解する」の謳い文句通りの内容である。
自作する3ビットCPUはNAD、OR、XOR、ADD、IN、OUT、JMP、NOPと8個の命令を備える。アドレスは4ビット幅で、SRAMでメモリーを構成する。プログラムの入力にはトグルスイッチを使う。出力はLEDで確認する。電源はUSBからとる。実にシンプルな構成である。いまやすっかりブラックボックス化している情報技術を、こうしたプリミティブなレベルから知るのは悪くない。データの物理的な動きを頭の中で想像できるだけでも大きな進歩だ。物理的にありえないようなセールストークを鵜呑みにすることもなくなるだろう。補章には、仕様書、ブロック図、回路図、部品表、基板図、サンプルプログラムを掲載する。何とも親切である。新入社員教育などにお薦めの1冊である。
書籍情報
創って学ぶCPUの基本〜3bitプロセッサを設計しながらゼロから仕組みを理解する〜
檀上京之介、日経BP、p.272、¥3300

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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