横田英史の読書コーナー
アフリカ〜「経済大陸」の行動原理と地政学〜
遠藤貢、中公新書
2026.4.25 5:04 pm
このところインドやイラン、イスラエル、中東関連の書籍を集中的に読んでいるが、今回取り上げるのはアフリカ。これまで以上にアフリカについての知識に乏しいことが、本書を読むと痛感する。アフリカの複雑さ、難しさ、したたかさ、将来性など、とても勉強になる新書である。人口増、豊富な鉱物資源(コバルトやチタン、マンガンなど)、政情、勢力拡大を虎視眈々とねらう欧米や中国、ロシアの動向、中東との緊張関係など、ざっと把握できる。新書なので情報量に限界はあるが、初学者がアフリカを知るキッカケとしては十分だろう。
アフリカの人口は増え続ける。2030年の17億人が2050年には24億6000人、2100年には39億人に達すると予測されている。2100年の人口は、インドや中国を含むアジアの人口規模に匹敵する。なんと世界の3人の1人がアフリカに生活することになるという。一方でアフリカ諸国は多くの問題を抱える。干ばつや食料難、貧困、権威主義の台頭、民族紛争・政情不安、環境問題、権威主義化(強権化)などだ。筆者は代表例を取り上げながら歴史的背景と現状を解説する。
アフリカの政治には「外向」と呼ばれる考え方があるという。国際的に求められる課題への対応を通して、国際的な批判の対象となりにくい政治体制を構築することに重きを置く考え方である。民主主義は二の次となり、独裁や権威主義につながる。結果としてアフリカの国家は、統治の実効性を伴う「経験国家」、国際的承認と外交を重視し国内的には統治能力のない「法律国家」、さらに崩壊国家に3極化しているというのが著者の見立てである。崩壊国家は、政府が完全に機能不全に陥り、公共財は政府以外の主体から一時的に提供されているだけで、権威の空白が生じている国家を指す。具体例としてソマリアを挙げる。
書籍情報
アフリカ〜「経済大陸」の行動原理と地政学〜
遠藤貢、中公新書、p.264、¥1155

















