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横田英史の読書コーナー

政治家の見極め方

御厨貴、NHK出版新書

2016.5.22  9:53 am

 政治家のオーラル・ヒストリーやTBSの時事放談の司会で知られる御厨貴が、政治家の生き様や考え方、行動パターンの変遷を具体名を挙げて論じた書。最近の政治家が軽薄短小になった理由がよく分かる。帯にある「なぜ安倍政権の支持率は落ちないのか」「なぜ政治家はケータイを手放せなくなったのか」「なぜ芸人は小泉純一郎が好きなのか」に対する著者の見解は、もっともである。いちいち腑に落ちてくる。軽妙な語り口の政治入門書なので、オフや移動の時間の読書に向く。

 入門書らしく、第1部と第2部では日本の政治制度の基礎を論じ、安倍政権の特徴や現在の政治状況について解説する。安倍政権の政治手腕、構図、強さと弱さについて取り上げる。第3部と第4部は吉田茂、岸信介、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘、後藤田正晴などキャラの強い戦後政治家を紹介する。第5部と第6部は新旧政治家の生態を具体的なエピソードとともに取り上げる。なぜ政治家は上座と下座にこだわるのか、パフォーマンスの数々、しょせん腰掛けでしかない政治家稼業の現状など読み応えがある。最後の第7部と第8部は今後の政治の行方について論じる。

書籍情報

政治家の見極め方

御厨貴、NHK出版新書、 p.264、¥886

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。