横田英史の読書コーナー
アナログの逆襲 〜「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる〜
デイビッド・サックス、加藤万里子・訳、インターシフト
2019.1.11 10:11 am
タイトルを見ると「デジタルの先はアナログ」とも読めるが、少々大袈裟でミスリード気味である。端的に言えば、「アナログにはデジタルにない良さがある」「アナログを極めるところに生き残る余地が十分にある」「アナログとデジタルは両立する」といったところ。名著「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」など類書が存在する内容だが、事例を数多く取り上げているところは評価できる。原書は2016年なので、内容が少し古いのを前提に読むことをお薦めする。
出版、小売り、製造、教育のすべての面で、デジタル一辺倒の弊害とアナログの長所を論じる。アナログな発想がもつ革新的かつ破壊的な可能性を説く。事例はレコード/ターンテーブル、モレスキン、フイルム、ボードゲーム、腕時計、印刷、書店など。評者も愛用するグッズも出てくるので、共感できるところが少なくない。
行き過ぎたデジタル化を再考し、アナログの見直しが進んでいるのは間違いないところだろう。筆者の主張はいずれも説得力をもって迫ってくるが、市場としてマスになりきらないのが辛いところだ。
書籍情報
アナログの逆襲〜「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる〜
デイビッド・サックス、加藤万里子・訳、インターシフト、p.400、¥2268

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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