横田英史の読書コーナー
スーパーインテリジェンス〜超絶AIと人類の命運〜
ニック・ボストロム、倉骨彰・訳、日本経済新聞出版社
2018.8.22 12:32 pm
AIと人間との将来的な関わりについて、技術的・哲学的な思考実験を展開した書。迫力満点である。内容は多岐にわたるが、特に「AIのコントロール」問題についての論考が興味深い。発展が著しく、時には人間を欺いて成長しかねないAIを、どのように制御すべきか(制御は可能なのか)について詳説する。本文だけで550ページ、参考文献をあわせれば720ページに及ぶ大著である。あまりに長くて全体像が分からなくなるのが難点だが、シンギュラリティに興味のある方はぜひ読破してほしい。
タイトルのスーパーインテリジェンスとは、思考能力、専門的な知識・能力を含め人類の叡智を結集した知力よりもはるかに優れた超絶知能を指す。スーパーインテリジェンスが何を人類にもたらすのか、どのような形態で、どのように出現し、どのようなパワーをもつのか、人類は滅亡するのか、リスクをどう回避するのかについて、オックスフォード大学教授で人類の未来研究所の所長が持論を展開する。
人間の精神行動の未熟さとAIのミスマッチは大きく、AIの伸長を食い止められないとする。このままではスーパーインテリジェンスの登場は不可避だが、知的爆発を遅らせられればコントロール問題の解決策を見つける余裕が生まれると一縷の期待を寄せる。単なるソフトウェアがスーパーインテリジェンスに成長し、やがてシングルトン(全世界で唯一の意思決定エージェント)を作り上げ、面従腹背で人間を欺きつつ全世界の支配を目論むという話は本当かなぁという気もするが、妙にリアリティがある。
書籍情報
スーパーインテリジェンス〜超絶AIと人類の命運〜
ニック・ボストロム、倉骨彰・訳、日本経済新聞出版社、p.720、¥3024

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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