横田英史の読書コーナー
技術屋の王国
片山修、東洋経済新報社
2018.5.23 9:44 am
2足歩行ロボットのASIMOやホンダジェットの開発を通して、ホンダらしさの源泉を明らかにしたノンフィクション。ホンダ幹部へのインタビューだけではなく、現場技術者への丹念な取材に裏打ち上された内容で、上質な開発物語に仕上がっている。全体に、著者のホンダへの食い込みぶりがよく分かる。この点が逆に物足りなさにもつながる。著者だから語れる「ホンダの問題点」まで深掘りできれば、より充実したビジネス書になっただろう。
ASIMOにもそれなりのページを割いているが、本書のメインは「空飛ぶ自動車に30年以上挑戦した」「30年間も1円の利益をあげない開発を継続した」ホンダジェットである。ジェット機本体だけではなく、エンジンの開発も一から始めたプロジェクトの大変さが伝わってくる。ホンダが多くの航空機学科の卒業生を集めていたというのも正直驚きである。ちなみに所々で引用される本田宗一郎の名言の数々は、実にいいアクセントになっている。
書籍情報
技術屋の王国
片山修、東洋経済新報社、p.391、¥2160

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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