横田英史の読書コーナー
裁判の非情と人情
原田國男、岩波新書
2017.3.31 9:40 am
20件以上の無罪判決を言い渡した東京高裁の元判事が雑誌「世界」に連載したエッセイをまとめた書。人柄を感じさせる洒脱な文章で読みやすい。刑務所の食事を試食する話や、現場に出向いたときに出されたお茶は飲んでいいが、紅茶はダメなど、名著「ちょっといい話」(戸板康二)の裁判版の趣がある。現在の司法に対する歯に衣着せぬ批判が際立っているところも本書の特徴である。これも悪くない。肩の凝らない内容なので、自宅で休日にリラックスして読むのに向く。
筆者は、先輩裁判官の思い出、法廷での出会い、裁判員制度、量刑の考え方、膨大な資料の読み方、死刑、冤罪、判決を決める瞬間、出世(最高裁長官になるには)、転勤などについて、4ページを1話完結にして語る。裁判官に一番欠けたところは、世情と人情に疎いことだと言い切る。こうした欠点を補うために、多くの文芸作品や小説を読み、寅さんの映画を見るべきだという。
書籍情報
裁判の非情と人情
原田國男、岩波新書、p.208、¥821

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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