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MathWorksがMATLABおよびSimulinkのRelease 2022bを発表

2022.9.21  3:59 pm

新製品Simscape Battery、およびモデルベースデザインを簡略化、自動化するアップデートを提供、エンドツーエンドの医用画像解析ワークフローを提供する新製品Medical Imaging Toolboxも発表

MathWorksはMATLAB®およびSimulink®製品ファミリのRelease 2022b (以下、R2022b)を発表しました。R2022bでは、2つの新製品に加え、モデルベースデザイン(MBD、モデルベース開発)を簡略化し、自動化する複数の機能強化が導入されています。この機能強化は、組織において製品の技術革新と躍進を使命とするエンジニアや研究者を支援します。
      
世界のバッテリーマネジメントシステム市場は2026年までに134億ドル規模に達すると予測されています。Bloomberg New Energy Financeは、この市場規模の拡大は主に、電気自動車(EV)市場の成長に起因する可能性を指摘しています。同社の最新のレポートでは、2040年までにEVが世界における乗用車の売り上げの58%を占めるようになると示されています。今回発表したSimscape Battery™は、R2022bのリリースで導入された中でも特に革新的な新製品であり、EV用などのバッテリーシステムを設計する企業向けの設計ツールおよびパラメーター化されたモデルを提供します。
       
エンジニアや研究者は、Simscape Batteryを使用することで、デジタルツインの作成、バッテリーパックアーキテクチャのバーチャルテストの実行、バッテリーマネジメントシステムの設計、平常時および故障時におけるバッテリーシステムの動作評価が可能になります。また、Simscape Batteryによって、必要なバッテリーパックモデルのトポロジを自動作成できます。冷却プレート接続が含まれているため、電気応答および熱応答を評価することもできます。
       
MathWorksのElectrical Systems Modeling担当Principal Product Manager、Graham Dudgeonは次のように述べています。
「バッテリーマネジメントシステムにおける技術革新がかつてないほど進んでいるなか、Simscape Batteryをリリースできることを非常にうれしく思います。この新製品には、エンジニアがさまざまなバッテリーパックアーキテクチャを対話的に評価できるBattery Pack Model Builderをはじめ、モデルベースデザインの簡略化と自動化を実現するための数多くの設計ツールが含まれています。」
      
R2022bには、新製品であるMedical Imaging Toolboxも含まれます。このツールボックスには、ディープラーニングを使用する診断アルゴリズムおよびラジオミクスアルゴリズムを、医用画像処理アプリケーションで設計、テスト、展開するためのツールが用意されています。医療分野の研究者、科学者、エンジニア、機器設計者はMedical Imaging Toolboxを使用して、様々なモダリティの 3Dレンダリングやレジストレーション、セグメンテーション、およびディープニューラルネットワークを学習させるためのグラウンドトゥルースのラベル付けを支援します。
       
R2022bでは、MATLABおよびSimulinkで広く利用されているツールのアップデートも行われています。詳細は下記のとおりです。

  • AUTOSAR Blockset:クライアント/サーバーARA手法を使用したサービス指向のアプリケーションを開発し、組み込みLinuxプラットフォームに展開できます。このツールでは、アーキテクチャモデル内のデータ型およびインターフェイスを定義できます。
  • Fuzzy Logic Toolbox:新しくなったFuzzy Logic Designerアプリを使用して、ファジィ推論システム(FIS)を対話的に設計、解析、シミュレーションできます。また、機能強化されたこのツールボックスを使用すれば、エンジニアや研究者はコマンドライン関数またはFuzzy Logic DesignerアプリでType-2 FISを設計できます。
  • HDL Coder:高位合成(HLS)用の最適化されたSystemCコードをMATLABから生成できます。また、フレームからサンプルへのモデル変換を使用してコードを最適化できます。
  • Model Predictive Control Toolbox:非線形モデル予測コントローラーの予測モデルとしてニューラル ネットワークを使用できます。また、このツールボックスを使用して、ISO 26262およびMISRA C規格に準拠したモデル予測設計コントローラーを実装できるようになりました。
  • System Identification Toolbox:ニューラル常微分方程式(ODE)を使用して、ディープラーニングに基づく非線形状態空間モデルを作成できます。機械学習およびディープラーニング技術により、非線形ARXモデルおよびHammerstein-Wienerモデルにおいて非線形ダイナミクスを表現することもできます。

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