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CEVAがPentaG2を発表、モバイル・ブロードバンドやIoTを実現する業界で最も包括的な5Gベースバンド・プラットフォームIPで5G NR対応モデム設計を効率化

2022.3.7  4:30 pm

5Gモデム・アーキテクチャーとして定評あるPentaGが第2世代に進化を遂げ、5G SoCの短期開発を促進し、市場投入の迅速化、リスクや手間、コストを大幅に削減

米国メリーランド州ロックビル―ワイヤレス通信技術およびスマート・センシング技術と統合IPソリューションのリーディング・ライセンサーであるCEVA,Inc.は本日、5Gプラットフォーム・アーキテクチャー「PentaG」の第2世代に当たる「PentaG2™」を発表しました。
モバイル・ブロードバンドやIoT向けの新たな利用形態の普及を後押しするほか、5Gモデム設計を内製化したいと考える携帯電話端末OEMメーカーの参入障壁削減にもつながります。PentaG2™は、先進のDSPに、最適なシグナル・チェーン処理専用アクセラレーターを組み合わせた総合的なハードウェア/ソフトウェアIPプラットフォームで、従来製品に比べて4倍の電力効率を実現します。
      
先ごろ発表された「エリクソン・モビリティ・レポート」によれば、セルラーIoT回線は、2021年に19億回線でしたが、2027年には全セルラー回線89億回線のうち、55億回線を占めるまでに拡大すると予測されています。さらに固定無線アクセス・システム(FWA)の回線数は、2021年の9000万回線から2027年には約2億3000万回線に増加する見通しです。半導体メーカーやOEMメーカーの間には、こうしたモバイル・ブロードバンドやIoTがもたらす巨大な市場機会を捉えたいという声や、5G端末用SoCの自社開発体制を確立したいという声があったものの、これまで容易には参入できない状況にありました。このたびCEVAが発表したPentaG2は、フルLTE/5Gモデムの設計に必要な主要構成要素を備えた総合プラットフォームを実現可能なため、半導体メーカーやOEMメーカーにとっては、そのような参入障壁を大幅に削減できるようになります。
    
PentaG2プラットフォームは、当初は以下の構成で提供されます。

  • PentaG2-Max:携帯電話端末やCPE/FWA端末向けのeMBB(拡張モバイルブロードバンド通信)の適用領域、ミリ波通信、NRサイドリンク通信、セルラーV2X(C-V2X)、URLLC(超高信頼・低遅延通信)によるAR/VRの適用領域が対象。PentaG2-Maxは、3GPPリリース16・リリース17で求められる膨大なワークロードの効率的処理が可能な世界唯一の総合IP製品。データパス処理の際にエリア当たりパフォーマンスを4倍に高める5G-Advanced(サブ6GHz帯とミリ波の両5Gブロードバンド向け)が実現します。
  • PentaG2-Lite:LTEカテゴリー1(LTE Cat.1)や3GPPが策定中のRel-17/18 NR RedCap(Reduced Capacit、別名NR-Lite)など幅広い小容量の適用領域をサポートします。PentaG2-Liteは、完全な処理チェーン・アクセラレーションに対応した極めて高効率で無駄のないベースバンド実装で、フットプリントを抑えたDSPコントローラーを利用し、最大給電電力が極めて限られた条件にも対応します。
    なお、重要なポイントとして、どちらの構成でも、チャネル推定や高度なイコライゼーションなど、お客様独自のアルゴリズムやIPを標準インターフェイス経由でPentaG2プラットフォームに組み込める柔軟性があります。

CEVAのモバイル・ブロードバンド事業部バイスプレジデント兼ゼネラル・マネージャーのGuy Keshetは、次のように説明します。
「現在、5Gと言えば、圧倒的にスマートフォンの規格と思われがちですが、産業用やロボット、ウェアラブル機器、医療、自動車、固定無線アクセス・システム、スマート・グリッドなど、まだ5Gの真価が完全に発揮されていない新たな市場にセルラー技術を普及させる大きな機会が見込まれます。この新たな分野が確立すれば、半導体メーカーやOEMメーカーは、従来のセルラー系ベンダーから高コストのセルラー・モデムを調達することなく、アプリケーションに特化した5Gモデムを社内開発する道が開かれます。PentaG2は、完全なベースバンド処理プラットフォームを費用対効果と電力効率に優れたソリューションとして実現し、5Gモデム開発の設計面の空白部分を埋めることになります。このソリューションは、5Gモデム設計を内製化したいと考える携帯電話端末OEMメーカーにも役立ちます」。
        
PentaG2プラットフォームのアーキテクチャーの土台となった第1世代のプラットフォームは、これまでに数百万台に上る5G NR対応のスマートフォンやモバイル・ブロードバンド端末に採用されるなど、大きな成功を収めています。PentaG2は、プログラマブル型のアクセラレーターやコプロセッサーの完全なセットを搭載し、エンドツーエンドのインライン信号処理チェーンを構成します。PentaG2プラットフォームの構成要素として初めて導入されたアクセラレーターは、以下のとおりです。

  • ビット復調ユニット(受信ビットとLLR処理の全体をサポート)
  • ビット変調ユニット(送信ビット処理全体が対象)
  • イコライザー/MAC処理エンジンのコプロセッサー・ユニット
  • 5G LDPCエンコーダー/デコーダー
  • 5G Polarエンコーダー/デコーダー

その他のハードウェア・アクセラレーターには、HARQ、MLD、Multi-radix DFT、Turbo FEC/Viterbi FEC、5Gリンク適応用ニューラル・ネットワーク・コプロセッサーがあります。すべてのアクセラレーターに標準AXIインターフェイスが用意されるため、統合も手間がかかりません。また、同プラットフォームには、PHY制御やハードウェア・アクセラレーション・スケジューリング、プロトコル・スタック実行用のスカラーDSPも搭載されています。PentaG2-Maxは、チャネル推定に必要なワークロードのハンドリングに、5G ISA拡張を加えたベクターDSPも採用しています。
      
また、PentaG2プラットフォームは、すべての5G処理チェーンをL1 SWに完全に機能実装しており、制御DSPで実行し、プラットフォームのすべてのハードウェア・アクセラレーター(PDSCH、PUSCH、PDCCH、PUCCH)を利用します。
      
さらに開発作業の簡素化・迅速化に向けてPentaG2に搭載された機能として、高度なプラットフォームのSystem-Cシミュレーション環境があり、システム・エンジニア、アーキテクト、ソフトウェア開発者がプリシリコン段階で設計のモデル化、プロファイル、デバッグが可能です。このシミュレーターは、PentaG2のすべての構成要素に対応し、MATLABとのシームレスなインターフェイスでアルゴリズム開発を実現します。また、PentaG2システム全体をFPGAプラットフォームでエミュレートし、さらに検証を加えることができます。
      
PentaG2の主要顧客向けライセンス提供は本日から始まり、一般向けは今年下半期を予定しています。PentaG2のお客様には、CEVAによるSoC設計サービスもご利用いただけます。システム設計やモデム開発の統合・サポートにお役立てください。
     
詳細 https://www.ceva-dsp.com/product/ceva-pentag/