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ケイデンス、Clarity 3D Solverを発表、システム設計と解析に向け、かつてないパフォーマンスと大規模対応を実現

2019.4.3  1:25 pm

急成長しているシステム解析および設計市場に一石を投じるケイデンスソリューション。実質無制限の大規模対応と最高水準の精度、従来比で最大10倍高速に実行可能

ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ市、以下、ケイデンス)は、4月2日(米国現地時間)、従来のフィールドソルバーテクノロジーと比較して最大で10倍高速なシミュレーションパフォーマンスおよび実質無制限と言える大規模モデルに対応した、最高水準の精度を提供する新製品Cadence® Clarity™ 3DSolver を発表し、急成長しているシステム解析および設計の市場に参入しました。
Clarity 3D Solver は、卓越した分散マルチプロセッシング技術を利用し、チップ、パッケージ、PCB、コネクター、ケーブル等からなる複雑な3D 構造の設計で直面する電磁界(EM)の課題に対して、効率よく対処することができます。デスクトップ、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、クラウドコンピューティングなど様々なタイプの計算機リソースを保有するあらゆるエンジニアに対して厳密な3D 解析技術を提供します。Clarity 3D Solver では、一般的なチップ、IC パッケージおよびPCB 設計環境から設計データを容易に読み込むことが可能であり、さらにケイデンスのAllegro®およびVirtuoso®設計環境を使用している設計チームとの間では、独自の親和性の高い統合環境を実現できます。詳細な情報については、www.cadence.com/go/3dsolver をご参照ください。

シリコンインターポーザー、リジッドフレックスプリント基板、スタックダイIC パッケージに見られる非常に複雑な構造については、構造の最適化の観点と高速信号のコンプライアンスに対応できるよう、3D で高精度にモデリングする必要があります。特に、112G Serializer/Deserializer (SerDes) インターフェースなどの高速信号は、再現性の高い堅実な配線設計をしなければなりません。インピーダンスがわずかに変化しただけでビットエラーレートに悪影響を与えることがあるため、最適なパターンを得るためには、数十回にも及ぶ複雑な寄生抽出とシミュレーションを実行する必要があり、膨大な探索が必要になります。このような作業負荷に対応するため、従来のフィールドソルバーを大規模で高価なハイパフォーマンスサーバー上で実行する必要があります。さらに、従来のフィールドソルバーテクノロジーでは、解析速度やキャパシティの制限があり、手元のマシン環境の制約の範囲内で実行できるよう、注意深く構造を簡素化したり小さいセグメントに分割したりする必要がありました。このような疑似的な3D 手法では、モデル境界面の切り方などにより解析結果に影響が発生することがあり、生成されるモデルに人為的なミスが生じるリスク要因となります。

Clarity 3D Solver テクノロジーは、5G 通信、車載/ADAS、HPC およびIoT アプリケーションなどのシステム設計時に直面する、最も複雑なEM の課題に対応することができます。Clarity 3D Solver は、業界をリードするケイデンスの分散型マルチプロセッシング技術を活用することによって、大規模でより複雑な構造に効率的かつ効果的に解析するために必要な、実質無制限の大規模構造対応と、従来比最大10倍の処理速度向上を実現します。Clarity 3D Solverは、シグナルインテグリティ(SI)解析、パワーインテグリティ(PI)解析、EMC 解析で使用できる非常に高精度なS パラメータモデルを生成し、実測データと整合したシミュレーション結果を出力します。

Clarity 3D Solver は、複数の低コストのコンピューターにジョブを分散できるよう最適化されており、それと同時にテラバイトクラスのメモリを備えるさらに強力で高価なサーバー上で実行する際も同様に効率よく実行することが可能です。独自の分散型アダプティブメッシュ法と、従来の3D フィールドソルバーよりも大幅に少ないメモリ使用量により、Clarity 3D Solver はコスト効率のよいクラウドおよびオンプレミス分散コンピューティング環境を広範囲にわたって活用することを可能にします。これらのメリットにより、クラウド対応のClarity 3D Solver は、クラウドコンピューティングの予算を最適化する最適な選択です。

Clarity 3D Solver をCadence Sigrity™ 3D Workbench と同時に使用すると、ユーザーはケーブルやコネクターなどのメカニカルな構造をシステムデザインに取り込み、1つのモデルとしてエレクトリカル- メカニカルインターコネクトをモデリングすることができます。また、Clarity 3D Solver は、Virtuoso、Cadence SiP Layout、Allegro設計環境と強固に統合されており、Allegro やVirtuoso 環境で設計した3D 構造を、そのまま解析ツールを使用して最適化、その結果をリドローせずに設計ツールでそのままインプリメンテーションすることが可能です。

Teradyne 社コメント
Rick Burns 氏(vice president of engineering, Semiconductor Test Division):
「ギガビット速度で動作する30以上のレイヤーを持つ高度に集積したPCB においては、シグナルインテグリティ解析に対応するために複雑な構造のインターコネクトを高精度に抽出しなければなりません。Cadence Clarity 3D Solverにより、以前かかっていた時間のほんの一部の時間で必要な精度を実現することが可能となりました。以前は1回しか実行できなかった時間で数十回ものシミュレーションを実行できるようになり、解析の新しい可能性が広がりました。
また、設計のリスピンが軽減され、お客様に低コストで最高スループットを実現するテスト環境をお届けするという我々の使命を実現できるようになります」

HiSilicon 社コメント
Catherine Xia 氏(senior director of platform technology):
「More than Moore と言われる時代に入り、我々の将来のチップやシステム設計においては、複数の物理モデルや現象を解析するマルチフィジックスシミュレーションの重要性が高まっています。従来の3D フィールドソルバーテクノロジーでは、チップ、パッケージ、プリント基板、エンクロージャを考慮するシステム全体のシミュレーションに必要な要件を満たすことは出来ませんでした。ケイデンスClarity 3D Solver によって提供される革新的なパフォーマンスと対応回路規模に我々は大変感銘を受けています。ケイデンスがさらにシステムレベルシミュレーションに技術革新を起こしてくれることを期待しています」

ケイデンスコメント
Tom Beckley(Senior vice president and general manager of the Custom IC & PCB Group):
「ケイデンスにおいて新しく作られたSystem Analysis Group は、IC、パッケージ、ボード、さらにシステム全体を通して最も複雑な電磁界の課題を解決する次世代アルゴリズムの新境地を開いています。最初に開発された重要なテクノロジー革新であるClarity 3D Solver は、従来のEDA を超えてケイデンスの製品ポートフォリオを拡大するとともに、ケイデンスのSystem Design Enablement 戦略を前進させ、システム設計ソリューションのポートフォリオの拡張および市場機会の拡大を可能にしてくれます。Clarity 3D Solver により、半導体およびシステム企業は、112G通信ネットワーク、IoT、車載/ADAS、各種の複雑で高速な電子システムなど様々な最先端アプリケーションのシステムレベルの課題に対応することが可能になります」

・日本ケイデンス・デザイン・システムズ社
 www.cadence.co.jp