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ザイリンクスとMotovisが車載前方カメラのイノベーションを促進する完全なハードウェア&ソフトウェア ソリューション発表

2021.9.1  4:12 pm

ザイリンクスとMotovisが車載前方カメラのイノベーションを促進する完全なハードウェア&ソフトウェア ソリューション発表

24億ドル規模(*1)の前方カメラ市場をターゲットとし、自動車メーカーのより迅速なタイム トゥマーケットを実現する幅広いソリューションの提供を見据えて新たな協力体制を構築

(*1) Strategy Analytics、「ADAS Semiconductor Demand Forecast, August 2021」、2025 年の前方カメラ プロセッサ市場予測
    
ザイリンクス社 (本社: 米国カリフォルニア州サンノゼ) と自動運転向けエンベデッド AIソリューション プロバイダーのMotovis社 (本社: 中国上海) は8月31日 (米国時間)、新たな協力体制を敷き、自動車市場、特に前方カメラ システムの車両認識および制御向けにザイリンクス オートモーティブ (XA) Zynq® システム オン チップ (SoC) プラットフォームと、Motovis社のたたみ込みニューラル ネットワーク (CNN) IP を組み合わせたソリューションを提供することを発表した。このソリューションは堅牢なプラットフォームを提供し、顧客の開発力を強化し加速するというザイリンクスの企業構想に基づくものである。
    
前方カメラ システムは、レーンキープ アシスト (LKA)、衝突被害軽減ブレーキ (AEB)、アダプティブ クルーズ コントロール (ACC) などの安全性の維持に重要な役割を果たす高度なセンシング機能を提供する、先進運転支援システムに不可欠な要素である。今回提供開始されたソリューションは、たたみ込みニューラル ネットワークを使用して低レイテンシの画像処理、柔軟性、スケーラビリティを優れたコスト効率で実現し、NCAP (European New Car Assessment Program: 欧州新車アセスメント プログラム) 2022の要件に必要な幅広いパラメーターをサポートしている。
    
Strategy Analytics 社でグローバル オートモーティブ プラクティス担当バイス プレジデントを務めるイアン・リッチズ (Ian Riches) 氏は、次のように述べている。
「両社の連携は自動車OEMの技術革新を促進するという意味で前方カメラ市場において大きな節目となります。前方カメラ市場には非常に大きな成長機会があり、2020年から 2025年にかけて20%近くの前年比成長率が見込まれます。ザイリンクスとMotovisは、特に新しい規格が登場し要求が高まり続ける中において、自動車OEMのニーズを大いに満たす、高度に最適化されたハードウェアおよびソフトウェア ソリューションを提供しています」
    
28nmおよび16nm XA Zynq SoCファミリとMotovis社のCNN IPを組み合わせたこの前方カメラ ソリューションは、ハードウェアとソフトウェアを最適に分割する柔軟性を備えるとともに、Motovis 社の深層学習ネットワークをホストするカスタマイズ可能な CNN 固有エンジンを備えているため、コスト効率に優れた製品を各種のパフォーマンス レベルおよび価格帯で提供できる。このソリューションは、最大8メガピクセルの画像解像度をサポートしている。OEMとティア 1 サプライヤーは、Motovis社の認知スタックの上層に独自の機能アルゴリズムを積み重ねることができるようになり、デザインを差別化して将来性を持たせることが可能になる。
    
Motovis 社のCEOであるジョンファ・ユウ (Zhenghua Yu) 博士は、次のように述べている。
「ザイリンクスとのこの新たな取り組みを公表し、CNN前方カメラ ソリューションを市場に導入できることを非常に嬉しく思っています。AEBおよびLKA機能対応システムを設計するお客様は、今後の追加機能を容易に実装する柔軟性を備えたSoC内部に効率的なニューラル ネットワーク処理が可能な製品を求めています。Motovisのカスタマイズ可能な深層学習ネットワークと、CNN固有のエンジンをホストできるザイリンクスのZynqプラットフォームは、ほかとは一線を画す効率性と最適化を提供し、お客様のニーズに合わせ将来の規格にも対応するデザインを可能にします」
    
世界各国の政府機関や消費者団体から要請される指令に準拠するため、前方カメラ システムの導入を進める市場動向は今後も続く。たとえば、欧州委員会一般安全規則、米国運輸省道路交通安全局、NCAPは2020年~2025年以降に生産する新車にLKAおよびAEBを導入することを正式に義務付けるか、強く推奨している。
    
ザイリンクスのオートモーティブ事業部シニア ディレクターであるウィラード・トゥ (Willard Tu) は、次のように述べている。
「当社のXA製品を前方カメラ市場の包括的なソリューションによって拡充することで、コスト重視の高パフォーマンス ソリューションをお客様に提供できるようになります。この取り組みを実現し、業界を進化させられることを喜ばしく思います。Motovis のエンベデッド深層学習のノウハウ、ニューラル ネットワークを最適化して前方カメラ認知の大きな課題を解決した手法により、OEM 顧客のタイム トゥ マーケットが短縮され、両社は市場シェア獲得において独自の立場に立つことができます」
    
Motovis社は、2021年9月15日 (米国時間) に開催されるバーチャル イベント Xilinx Adapt 2021(*2)で講演する。このイベントでは、パートナーおよび顧客を招いた基調講演のほか、100 以上のプレゼンテーション、フォーラム、製品トレーニング、ラボを実施し、アダプティブ コンピューティングの価値を知る絶好の機会となる。
    
(*2)https://xilinx.cventevents.com/event/f7c4412f-572a-4b8b-b8d0-6b92aae2cf0d/summary?utm_source=jp_xeventpage&utm_medium=xilinx_referral&utm_campaign=adapt_2021&utm_content=eventspage