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300mm半導体ファブ装置の投資額、2023年まで急成長し2度の最高額を記録する見込み

2020.11.5  6:20 pm

SEMIが発表、2024年までの新規300mmファブ計画は38件

SEMI(本部:米国カリフォルニア州ミルピタス)は11月3日(米国時間)、最新のレポート「300mm Fab Outlook to 2024*1)」において、300mmファブ投資額が、2020年に前年比13%増加し、2018年に記録された過去最高記録を上回り、2023年には再度の記録更新をするとの予測を明らかにしました。
COVID-19パンデミックによる全世界のデジタル・トランスフォーメーションの加速により、2020年のファブ投資に火がつき、この投資増は2021年まで続く見込みです。
https://www.semi.org/en/news-resources/market-data/global-300mm-fab-outlook
  
この成長を後押しするのが、クラウドサービス、サーバー、ラップトップ、ゲーム、ヘルスケア向けの半導体需要の高まりです。また、5G、IoT、自動車、AI、機械学習等の急速に発展するテクノロジーが、コネクティビティの拡大、大型データセンター、ビッグデータの需要を掻き立てていることも、この成長の背景となっています。
  
SEMIのプレジデント兼CEOのアジット・マノチャ(Ajit Manocha)は次のように述べています。
「COVID-19パンデミックによって、私たちの働き方、暮らしを作りかえてしまうと考え得るほぼ全ての産業においてデジタル・トランスフォーメーションが加速しています。予測される過去最高の支出と38の新規ファブ建設は、デジタル・トランスフォーメーションを推進する最先端技術の基盤としての半導体の役割を強化し、世界の最も重大な課題をいくつも解決に導くことでしょう」
  
半導体ファブへの投資の成長は2021年まで継続しますが、その勢いは前年比4%まで減速するでしょう。前回の産業サイクルと同様に、レポートは2022年、および2023年の700億ドルという最高額の翌2024年にも、わずかな減少があると予測しています。(図1参照)

300mm半導体ファブ装置の投資額、2023年まで急成長し2度の最高額を記録する見込み
図1:300mmファブの装置投資額推移(2013年~2024年)

・38の新規300mmファブ建設
「SEMI 300mm Fab Outlook to 2024」では、2020年から2024年の期間に半導体産業が少なくとも38の新規300mm量産ファブを建設することを示しています。これは、実現性の低い計画や噂レベルの計画を含まない控えめな予測です。同期間に、ウェーハ生産能力は月産180万毎増加し、2024年までに生産能力は月産700万枚を超えるでしょう。(図2参照)

300mm半導体ファブ装置の投資額、2023年まで急成長し2度の最高額を記録する見込み
図2:トータル300mmファブ生産能力とファブ数(2015年、2019年、2024年)

2020年から2024年に建設される38の新規300mm量産ファブの地域的内訳は、台湾の11と中国の8が全体の半分を占めます。半導体産業の300mmファブの数は、2024年に161となるでしょう。
  
・生産能力と投資額の地域別動向
中国は300mm生産能力の世界シェアを急速に高めており、2015年には8%だったシェアは2024年に20%まで増加し、300mm月産生産能力は150万枚に達するでしょう。この成長の大きな部分は非中国系企業によるものですが、中国系企業による生産能力投資は加速しています。中国系企業は2020年に中国のファブ生産能力の約43%を占めますが、2022年には50%、2024年には60%に達する見込みです。
  
日本の300mm生産能力のシェアは減少傾向であり、2015年の19%から2024年には12%となるでしょう。南北アメリカのシェアもまた減少し、2015年の13%から2024年には10%となることが予測されます。
  
地域別で最大の設備投資をするのが韓国で、150億ドルから190億ドルの投資が見込まれます。韓国に続くのが台湾で、300mmファブへの投資額は140億ドルから170億ドルとなります。第3位の中国は110億ドルから130億ドルを投資する見込みです。
  
投資額の小さな地域はより急激な投資増が2020年から2024年に見られるでしょう。欧州/中東は164%と増加率が最大となり、東南アジアの59%、南北アメリカの35%、日本の20%がこれに続きます。
  
・製品分野別の投資動向
メモリーが、300mmファブ投資の増加の大部分を占めます。投資額の実績および予測は、2020年から2023年にかけて毎年一桁台後半の安定した成長を続け、2024年には10%の高成長をすることを示しています。
  
DRAMと3D NANDの300mmファブ投資は、2020年から2024年までは起伏があるでしょう。これに対し、ロジック/MPUの投資は、2021年から2023年にかけて安定した改善を見せます。パワー半導体は、300mmファブ投資では2021年に200%以上の突出した伸び率を示し、2022年と2023年も二桁成長を続けるでしょう。
  
2013年から2024年までの286のファブおよびラインを追跡する「SEMI 300mm Fab Outlook to 2024」は、前回2020年3月版以降、104のファブについて247の更新をし、9のファブ/ラインを追加、2つの計画キャンセルを反映しています。