横田英史の読書コーナー
半導体覇権〜国家に翻弄される巨大企業〜
日本経済新聞社、日経BP 日本経済新聞出版
2026.2.25 7:52 am
世界の半導体トップ企業の動向と各国・地域の政策を、日本経済新聞のし局員が紹介した書。さすがに、よくまとまっており、頭の整理に役立つ。もっとも支局員を動員した割には分析や取材内容に深みが足りず、インパクトに欠けているのは残念である。半導体業界について新聞・雑誌・ウェブなどで日ごろ情報収集している方には物足りないかもしれない。
取り上げるのは日本、米国、韓国、台湾、中国、インド、マレーシアやインドネシアなどの東南アジア諸国、欧州。企業としては、米インテル、米エヌビディア、台湾TSMC、韓サムスン、AMD、ブロードコム、ラピダスなど。凋落著しいインテルが冒頭に登場し、次にエヌビディア、TSMCの順に取り上げる。今のインテルにエヌビディアを超える情報ニーズがあると思えないので不思議である。
現在の世界半導体産業におかれた状況を、TSMCの創業者モリス・チャンは「グローバル化はほぼ死んだ」と表現する。半導体産業はこれまで、国際分業で成長を果たした。これが米中対立をキッカケに、半導体産業への国家の介入が強まり分断の時代に突入した。生産拠点は拡散し、半導体産業は過剰供給リスクを抱え込むことになった。このままでは、半導体ビジネスは多くの企業が儲からない「官製不況」に陥る可能性があるというのが本書の見立てである。
書籍情報
半導体覇権〜国家に翻弄される巨大企業〜
日本経済新聞社、日経BP 日本経済新聞出版、p.312、¥2200

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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