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横田英史の読書コーナー

異端のイノベーション

木下淳之、幻冬舎

2023.1.21  11:12 am

 ステンレスをカラフルに発色させる技術「オロル処理」を開発した筆者による開発物語。聞いたことのない技術だったので興味深く読むことができた。残念なのは、筆者の自慢話や自画自賛が多く、技術が適正に評価されているのか疑問を感じてしまうところ。話自体は面白いので、手練のノンフィクションライターによる他社事例や他の技術を交えた書籍を期待したいところだ。筆者は元政治家秘書という異色の経歴をもつ。新技術の開発や事業立ち上げに、秘書時代の人脈や精通する補助金制度を活用するところなど“らしさ”満開である。
      
 ちなみに幻冬舎の書籍だと思って購入したが、実は発行元は幻冬舎メディアコンサルティング。同社のホームページには「企業ブランディングに特化し、書籍を作るだけではなく、書籍を通じてクライアント企業のメッセージ発信をお手伝いする」出版社とあるので、本書のような出来になるのは仕方がないところだろう。

書籍情報

異端のイノベーション

木下淳之、幻冬舎、p.194、¥1650

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。