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横田英史の読書コーナー

ダークデータ〜隠れたデータこそが最強の武器になる〜

デイヴィッド・J・ハンド、黒輪篤嗣・訳、河出書房新社

2021.5.23  2:25 pm

 データの収集時の「抜け」「捏造」「偏り」によって生じるダークデータのリスクと解決策、あえてデータをダークデータ化して積極的に活用する手法などを、英国の統計学者が論じた書。「統計でウソをつく法」「統計はこうしてウソをつく」など類書もあるが、本書の方が議論の幅を広く取っている。ビッグデータを意識した今風の味付けもあるので、ビッグデータ時代の基礎知識として一読するのも悪くない。
   
 筆者は欠けたデータは得ているデータと同じか、それ以上に、正しい判断と妥当性のある行動には重要と説く。ユニークなのはダークデータを、「欠けていることがわかっているデータ」「欠けていることがわかっていないデータ」「あったかもしれないデータ」「測定誤差」「捏造または合成」など15種類に分類したところ。情報の非対称性も15分類に含まれる。
   
 筆者は、データとの向き合い方について、疑り深くあれ、タイプを知れと語る。得られたデータだけに基づいた判断は誤っている可能性が高い、ダークデータの危険を免れている領域は一つもないと断じる。15分類に留意しながらデータを読み解くことで、誤った結論を下すリスクを減らせるとする。

書籍情報

ダークデータ〜隠れたデータこそが最強の武器になる〜

デイヴィッド・J・ハンド、黒輪篤嗣・訳、河出書房新社、p.344、¥2860

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。