横田英史の読書コーナー
科学者はなぜ神を信じるのか〜コペルニクスからホーキングまで〜
三田 一郎、ブルーバックス
2018.7.16 10:04 am
宇宙創生を解明する重要な発見をした科学者の多くが、実は「創造主」としての神を信じていたとする書。無神論者といわれるアインシュタインも例外ではなく、「間違いなく神を信じていた」と著者は主張する。ちなみに筆者は、素粒子物理学者の名古屋大学名誉教授でカトリックの聖職者というのもとてもユニークだ。それにしても神をテーマにしたブルーバックスというのは意表を突く企画である。読んで損のない1冊に仕上がっている。
本書は「神とはなにか、聖書となにか」という問いかけで始まる。科学は一歩ずつ宇宙創生の謎に近づき、創造主としての神の存在を危うくしてきたことを明らかにする。例えばニュートン力学によって神は、天界という聖域を侵され、「天体の進行」という秘儀を失い、「全知全能」という全体的な権威までも揺るがされるようになったという。
量子力学をはじめとする科学の進展の結果、聖書の「天地創造」が覆されるなど神や聖書の位置づけは変化した。現在の教会は「科学が聖書の読み方を教えてくれる」と考えるまでになったというのが筆者の見立てである。
登場する科学者は絢爛豪華だ。コペルニクス、ピタゴラス、ガリレオに始まり、ニュートン、ファラデー、マクスウェル、ボーア、ハイデルベルク、ディラック、シュレディンガー、ホーキングなどと続く。しかし科学者が宇宙や物質の誕生を突き詰めるほど、“最初のなにか”という問題に行き当たり、最後には神の存在を信じざるを得なくなるという。
書籍情報
科学者はなぜ神を信じるのか〜コペルニクスからホーキングまで〜
三田 一郎、ブルーバックス、p.256、¥1080

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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