横田英史の読書コーナー
日本の分断〜切り離される非大卒若者(レッグス)たち〜
吉川徹、光文社新書
2018.6.13 12:20 pm
日本社会が分断の危機にひんしていることを、筆者がレッグス(LEGs:Lightly Educated Guys)と命名した非大卒若者層に焦点を当てて論じた書。政治的・社会的な支援とメディアでの議論は大卒層や壮年層に偏っており、日本社会を支える重要な基盤であるレッグルに対しては十分でないと警鐘を鳴らす。計量社会学である筆者は最新の社会調査データに基づいて定量的に議論を展開しており説得力に富む。特に各所に登場する図もいい。急所をきちんと押さえていて見応え読み応え十分である。日本社会の現状を把握する上で貴重な情報を提供しており、読んで損はない。
筆者は、大卒・非大卒、壮年・若年、男性・女性によって現役世代を8分割して、年収、労働時間、職種、職業威信、転職、社会的活動といった切り口で、各層の違いを浮き彫りにする。「職業や経済力ではなく、学歴こそが社会経済的地位の根幹をなす」と断じ、大学・短大に進学するかしないかの選択が、その後の人生を大きく左右する社会になりつつある。しかも、この構造が世代を超えて再生産され始めているという。
書籍情報
日本の分断〜切り離される非大卒若者(レッグス)たち〜
吉川徹、光文社新書、p.264、¥1593

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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