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横田英史の読書コーナー

イーロン・マスク 未来を創る男

アシュリー・バンス、斎藤栄一郎・訳、講談社

2015.12.11  7:15 pm

 インターネットで地域情報を提供するZip2を手始めに、インターネット決済のペイパルの前身X.com社、電気自動車メーカーのテスラモーターズ、宇宙産業のスペースXなどを次々に立ち上げ、倒産寸前の危機を何度もくぐり抜け存続させてきたイーロン・マスクの評伝。活動の中心がネットベンチャーではなく、リスクの大きいハードウエア・メーカーというのがマスクの特徴である。ロケット製造工場に巨額の投資をするだけではなく、部品の自社開発にこだわる点もユニークだ。筆者はビジネスだけではなく、父親との微妙な関係や2度の結婚・離婚などプライベート面にも言及している。

 マスクが立ち上げた数々のビジネスが成功したかどうかの判断を下すのは時期尚早だが、並外れたパワーをもつ起業家であるのは間違いない。EIS読者にとって必読の書とは言いづらいものの、技術と製造にこだわりを持つ破天荒な起業家について知ることができる1冊であり読んで損はない。

書籍情報

イーロン・マスク 未来を創る男

アシュリー・バンス、斎藤栄一郎・訳、講談社、p.338、¥1836

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。