横田英史の読書コーナー
マーケティングに使える「家計調査」 世界最大の消費者ビッグデータは「宝の山」だ
吉本佳生、講談社
2015.8.6 10:46 am
総務省が実施している「家計調査」から浮かび上がってくる都道府県や都市の消費支出動向を紹介した書。教育熱心、洋服道楽、履物好き、魚好き、餃子好き、コーヒー好き、甘いもの好きな都道府県(都道府県庁所在地)はどこかを、詳細なデータに基づいて明らかにする。「秘密のケンミンSHOW」に通じる面白さがある。本書の後半に掲げられた「47都道府県庁所在市別の食生活データ」を見てニヤニヤするのも悪くないだろう。筆者は、家計調査から分かる生活データをビジネスや地域振興に活用することを勧める。
前半はデータ分析編。最初に取り上げるのが、各都道府県の教育投資動向である。筆者が評価するのは秋田の小学校教育がもつ投資価値の高さ。このほか福井や石川の堅実さも際立っているという。餃子の話も役立ち感がある。餃子を地域振興に活用したのが「消費量1位」を売り物した宇都宮市。浜松市との1位争いがメディアに取り上げられるなど、「餃子の街」を印象づけた。ちなみにデータが示しているのはテイクアウトの餃子の消費量で、店におけるデータは含まれていないのは要注意だ。
書籍情報
マーケティングに使える「家計調査」 世界最大の消費者ビッグデータは「宝の山」だ
吉本佳生、講談社、p.298、¥1620
横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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