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横田英史の読書コーナー

競争の科学~賢く戦い、結果を出す~

ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン著、児島修・訳、実務教育出版

2015.1.15  12:05 pm

 競争能力とは何であり、どのようにして獲得できるかについて論じた書。筆者は競争で勝利を収めるには、練習以外の「競争能力(Competive Fire)」が必要で、競争能力を高めるには接戦が欠かせないと主張する。筆者は多くの実験結果や知見を取り上げ、学業やスポーツ、ビジネスにおける競争に勝つためのコツを論じている。説得力がある内容で、多くの方にお薦めできる良書である。

 筆者は、競争で勝敗を分ける要因は何か、プレッシャーやストレスの競争における影響、競争能力は遺伝によるのか練習によるのか、ネガティブ思考とポジティブ思考が競争力に与える影響、幼少期の環境による影響、競争での男女差、子どもの競争心を養う方法、ホルモンと競争能力との関係といった興味深い話題を取り上げる。

 とりわけ男女の違いに関する論考は面白い。成功の見込みが高い時とき、男女の野心に差はなくなる。むしろ女性の方が積極的になる。男性は勝つ見込みの少ない勝負にも賭けることがある。ときには、愚かしいまでに勝ち目のない戦いに挑むことがある。しかし女性はこのような賭けはせず、チャンスがあると確信したときに男性よりも積極的になる。また負けて時間を浪費することに対する拒否感が強いという。

書籍情報

競争の科学~賢く戦い、結果を出す~

ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン著、児島修・訳、実務教育出版、p.360、¥1728

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。