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小林一三〜日本が生んだ偉大なる経営イノベーター〜

鹿島茂、中央公論新社

 阪急電鉄をはじめ、宝塚、東宝、阪急百貨店などを立ち上げた稀代の事業家・アイデアマンである小林一三の評伝。生い立ちから、不遇で放蕩三昧の銀行員時代、鉄道事業への進出、宝塚、少女歌劇団、映画や演劇の東宝の立ち上げ、政治家時代、戦中戦後に至る小林の足跡を丹念にたどっている。著者はフランス文学者で、渋沢栄一の評伝も手がけた鹿島茂。筆者が小林の経営と「人口動態」について関係づける冒頭には少し違和感があるが、全般に手慣れた感じで安心して読み進むことができる。


 小林の凄さは、「需要がなければ生み出せばいい」という思考パターンである。例えば阪急電鉄の前身である箕面有馬電気軌道の立ち上げに際しては、「乗客がいなければ作ればいい」と考え沿線の宅地を開発した。阪急百貨店のターミナルデパートしての特徴を十二分に活用した経営手腕にも思わず唸らされる。筆者はビジョナリスト/イノベーターとしての小林一三、ビジョナリー・カンパニーとしての阪神電鉄についてしっかり書き込んでいる。渋沢栄一や松永安左衛門、鳥井信治郎、岩下清周、五島慶太、岸信介、古川ロッパなど、多彩な登場人物も本書の魅力の一つである。

書籍情報

小林一三〜日本が生んだ偉大なる経営イノベーター〜

鹿島茂、中央公論新社、p.512、¥2160

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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