VRは脳をどう変えるか?〜仮想現実の心理学〜

ジェレミー・ベイレンソン、倉田 幸信・訳、文藝春秋

 VR(バーチャル・リアリティ)のインパクトを世界的権威のスタンフォード大学教授自らが紹介した書。米Facebook社がVR向けヘッドマウント・ディスプレイで知られる米Oculus社を20億ドルで買収する直前に、CEOのマーク・ザッカーバーグが同教授の研究室を訪問した話など、非常に興味深いトピックが満載である。“色モノ”的に見られることもあるVRの潜在的な可能性と社会的な意義を明らかにするとともに、脳に与える危険性とコンテンツ作成の注意点などについて言及する。翻訳は読みやすい。お薦めの1冊である。


 教授が指摘するのは、VRでの体験を現実の出来事として扱う「心理的臨場感」によって脳に影響が出ること。メリットにもデメリットにもなり得るが、PTSDの治療や痛みの緩和などメリットの多くは寡聞にして知らなかった。いずれの例もちょっと凄い。VRで第3の腕を増やしても、脳は変化に対応して短時間に使いこなせるようになるという。NECが労働者の生産性向上のために、第3の腕の研究を委託したケースはちょっと驚きである。

 

 アメフトのトレーニングに使ったり、学習への適用、エンターテインメントやメディアでの利用などなるほどと思わせる事例が、本書では盛りだくさんに紹介されている。とても勉強になる。最後にはVRコンテンツで守らなければならない3か条を紹介する。これまたナルホドである。

書籍情報

VRは脳をどう変えるか?〜仮想現実の心理学〜

ジェレミー・ベイレンソン、倉田 幸信・訳、文藝春秋、p.364、¥2376

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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