ダーウィン・エコノミー〜自由、競争、公益〜

ロバート・H・フランク、若林茂樹・訳、日本経済新聞出版社

 アダム・スミスの「神の見えざる手」は、実際の市場では有効に機能しないことを指摘した経済書。アダム・スミスが正しければ世界は年を追うごとに暮らしがよくなっていくはずだが、実際にはそうなっていない。格差は広がる一方である。ダーウィンが指摘するように、集団の利益と個人の利益はしばしば対立し、個人の利益が優先される。結局、実際の市場は最適にならないことが多い。100年後にはダーウィンがアダム・スミスに代わり「経済学の父」と呼ばれているだろうと著者は予測する。


 筆者が厳しく非難するのが、規制に徹底的に反対し自由放任を標榜する米国の保守派でありリバタリアンである。反税制、反政府のスローガンは、人間の行動についての既存の理論や事実と食い違うとする。制限のない市場には、利己的な個人の行動を公益に沿う方向にもっていくことに失敗することが多いと筆者は強調する。


 個人の効用を過度に損なうことなく格差是正を進める政策として、筆者が推すのが「累進的消費税」である。個人の所得に見合った課税によって所得を再配分する。すべての所得層で効用があるとする。2011年に出版された書だが、まったく古さを感じさせない刺激的な書である。

書籍情報

ダーウィン・エコノミー〜自由、競争、公益〜

ロバート・H・フランク、若林茂樹・訳、日本経済新聞出版社、p.324、¥2160

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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