新・日本の階級社会

橋本 健二、講談社現代新書

 日本における格差は1980年ごろを底に拡大を始め、この約40年にわたって広がり続けた。この結果、資本家階級、新中間階級、労働者階級、旧中間階級、アンダークラスといった5階級に分かれ固定化が生じていることを各種の調査データに基づいて明らかにした書。何となく感じていたことを、詳細なデータで裏付けており説得力がある。日本社会の現状を肌感覚や巷にあふれる通説からではなく、数字で把握する意味で価値ある書に仕上がっている。

 

 人口の30%が主に経済的な理由から安定した家族を作れない社会になっていることに筆者は危機感を抱く。問題視するのが、格差の拡大は競争の結果だと低所得層までが「格差拡大容認論と自己責任論」を受け入れているところ。国民意識が成熟(諦めて)してしまうと、格差社会は反転のキッカケを失うからだ。

 

 興味深く読めるのが、アンダークラスと排外主義、若者と保守化、自民党支持者の異質性といった話題である。最終章では「より平等な社会を実現するための道筋」を描く。ポイントは所得の再配分であり、世論形成のカギを握るのはパート主婦や専業主婦というのが筆者の見立てである。

書籍情報

新・日本の階級社会

橋本 健二、講談社現代新書、p.320、¥972

 

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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