DNAの98%は謎~生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か~

小林 武彦、ブルーバックス

 人体の摩訶不思議さがよく分かる書。本書はヒトゲノムの98%を占める遺伝子情報を含まない(タンパク質をコード化していない)領域に焦点を当てる。遺伝子情報がないので従来は「不要」なものと考えられていたが、このジャンクと呼ばれた「非コード DNA 領域」が人類の進化の原動力として働いてきたことが、近年の研究から明らかになってきた。ブルーバックスらしい内容で、生命や遺伝子、人体といったテーマに興味のある方に向く。

 

 興味深いのは非コード DNA 領域と人類の進化との関係だ。非コード DNA の変化が、環境に対する適応能力の幅を広げ、進化を後押ししたと説く。例えば脳の進化。脳の神経系の遺伝子は、非コード DNA 領域にあるイントロンのおかげで変化しやすい性質をもつことになり、急速な進化が可能になったとする。Y 染色体の話も面白い。Y 染色体も非コード DNA 領域にあり、Y染色体は X 染色体に比べてずっと進化が速い。その結果、500万年後には Y染色体は消滅する(オスが存在しなくなる)可能性があるという。

 

 このほか非コード DNA 領域は、ダメージからゲノムを守ったり、生物の進化を決めるといった特徴を備えている。ちなみに増え続ける非コード DNA 領域によって、人体が今後どのような変化を遂げるかについて、筆者はいくつかのヒントを与えてくれている。

書籍情報

DNAの98%は謎~生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か~

小林 武彦、ブルーバックス、p.280、¥1439

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役に就任。現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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