開示不正~その実態と防止策~

八田進二、白桃書房

 日本ディスクロージャー研究学会の研究成果をまとめたもので、日経新聞によると企業の投資家向け広報(IR)担当者の間で「必読」とされているという。具体的な12の事例について、開示不正や会計不正の実態を検証し、今後に向けた防止策を提言する。筆者は重要なのはトップの姿勢であり、的確な情報が正しく伝達されることが肝要だと説く。閉鎖的な企業風土が、的確な情報が正しく伝達されることを阻むと指摘する。

 

 筆者は企業の不正防止について形式的な器の議論のみが先行し、経営トップの意識が変わっていないことに警鐘を鳴らす。不正を起こす企業は不正を繰り返す傾向にあり、対症療法的な体制では不正を根絶できないとする。不正が発覚したときに設けられる「第三者委員会」の問題点についても取り上げる。

 

 事例として取り上げるのは、ミートホープ(食品偽装)、東洋ゴム工業(建築用免震積層ゴムの不正報告)、三菱自動車工業(燃費不正問題)、フォルクスワーゲン(排ガス規制偽装)、オリンパス(粉飾決算)、大王製紙(元会長への不正貸付)、東芝(不適切会計)など。いずれも新聞や雑誌などで大きく取り上げられ事件だが、改めて振り返るのも悪くない。手際よく企業の不正行為をまとめた書であり、お役立ち感がある。企業経営や情報開示、内部統制に関心のある方にお薦めしたい。

書籍情報

開示不正~その実態と防止策~

八田進二、白桃書房、P.278、¥3780

 

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。
その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月から日経BPコンサルティング取締役、2016年3月から日経BPソリューションズ代表取締役社長を兼務。2018年3月退任。2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所グリーンテックラボ主席研究員、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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