PC遠隔操作事件

神保哲生、光文社

 他人のパソコンをウイルスに感染させて乗っ取り、JAL 国際便の爆破予告や小学校の襲撃予告などを繰り返した「PC遠隔操作事件」の真相と、この事件であぶり出された日本社会の問題点を徹底的に深掘りしたノンフィクション。取材によって明かされる事実の数々は非常に興味深く、充実した作品に仕上がっている。筆者の筆さばきの良さもありスイスイ読める。技術的に突っ込んだ記述もあるが、この手の本には珍しく違和感なく読み進める。550ページを超える大著なので、夏休みなどたっぷりと時間の取れる時期にお薦めの1冊である。

 

 PC遠隔操作事件は、一般人のパソコンを乗っ取り警察への挑戦状を送りつけたり、踏み台にされたパソコンの持ち主4人が誤認逮捕されたり、江ノ島の野良猫の首輪にウイルス入り USBメモリーをつけ警察とマスコミに探させたり、保釈中に小細工をして真犯人だとバレてみたりと、一時期大いに話題を振りまいた。筆者は、事件、挑戦状、逮捕、公判、墓穴、真相、被害者、判決、動機と丹念に事件を振り返る。サイバー犯罪、警察の捜査能力、日本の司法制度、警察からの情報に依存するマスコミなど、日本社会の抱える問題の根深さに正直驚かされる。

書籍情報

PC遠隔操作事件

神保哲生、光文社、p.560、¥2592

 

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役に就任。現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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