失敗の科学 ~失敗から学習する組織、学習できない組織~

マシュー・サイド、有枝春・訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン

 失敗から学んだ組織と学ばない組織の事例を取り上げるとともに、失敗から学ぶための方法を紹介する。「信念を貫く勇気」と「進んで自分を試して成長し続けようとする謙虚さ」を兼ね備えることが重要だと論じる。「最も失敗から学ぶことが出来ないのは、最も失うものが多いトップの人間だ」「失敗は賢くやり直すためのチャンスにすぎない」など、警句に溢れた気づきの多いビジネス書である。

 

 失敗に対してオープンで正直な文化があれば、組織全体が失敗から学べるので、そこから改善が進むと強調する。例えば航空業界。失敗を免責して「データの山」にする文化が根づいている。ハドソン川の奇跡を生んだのは、サレンバーガー機長という個人の技術だけではなく、過去の事故から学んだチェックリストだったりコックピットの人間工学的デザインといったシステムの勝利だったと分析する。

 

 逆に医療過誤や冤罪、経済政策の失敗は、医者や司法、エコノミストの業界がクローズドな隠蔽体質をもつことから生まれる断じる。例えば、強いストレス下で視野は狭まり、認識力が低下することで発生する医療過誤。しかし事故は隠蔽され学習されないため、システム的に回避の仕組みが生まれない。米国では死亡原因の第3位が医療過誤だという。

書籍情報

失敗の科学 ~失敗から学習する組織、学習できない組織~

マシュー・サイド、有枝春・訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン、p.343、¥2052

 

横田 英史 (yokota@nikkeibp.co.jp)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。
日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現IT Pro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。
2003年3月発行人を兼務。2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役に就任。現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組み込み制御、知的財産権、環境 問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。

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