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横田英史の読書コーナー

消費税 政と官との「十年戦争」

清水真人、新潮社

2013.10.15  12:00 am

 小泉政権から現在の安倍政権まで、消費税増税の決定にいたる10年にわたる道のりを丹念な取材で追った力作である。政権交代やリーマン・ショック、東日本大震災などと並行して、与野党の政治家と財務官僚、学者が入り乱れて虚々実々の駆け引きを繰り広げるさまを、多くの人物を登場させて活写している。帯には「死屍累々の舞台裏を追った政界ドキュメント」とあるが的を射た紹介である。
 登場人物は多彩。筆者は、「俺は上げない」と宣言した小泉純一郎にはじまり、福田康夫、麻生太郎、菅直人、野田佳彦といった歴代首相はもちろんのこと、竹中平蔵や与謝野馨、園田博之、吉岡洋、亀井静香といった面々が、場面場面でどのように登場し、どのような役割を果たしたかを詳細に書き込む。一寸先は闇を地でいく内容は読み応え十分で、つい引き込まれる。多くの方にお薦めの1冊である。

書籍情報

消費税 政と官との「十年戦争」
清水真人、p.320、新潮社、¥1,680

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。