AMDのロボティクス・スターターキット、未来型のインテリジェント工場の実現を加速

AMD（米国本社：米カルフォルニア州サンタクララ）は本日、適応型SOM（システム・オン・モジュール）と開発者用キットから成るKriaポートフォリオに、Kria™ KR260ロボティクス・スターターキットが新たに加わったことを発表しました。Kria KR260は、スケーラブルですぐに使えるロボティクス用開発プラットフォームであり、既存のKria K26適応型SOMとの組み合わせにより、シームレスな生産展開を実現します。
ロボティクス・アプリケーション開発の標準フレームワークであるROS 2をネイティブにサポートし、ロボティクス・ソリューションおよび産業ソリューション用インターフェイスがあらかじめ組み込まれた新しいSOMスターターキットにより、ハードウェア・アクセラレーション技術を用いたロボティクス、マシンビジョン、および産業通信と制御向けのアプリケーションを迅速に開発することが可能になります。
　　　　　　
AMDの産業、ビジョン、ヘルスケアおよびサイエンス担当シニア・ディレクターであるチェタン・コーナは、次のように述べています。
「Kria KR260ロボティクス・スターターキットは、AIおよび組み込み開発者向けのKria SOMや既存のKV260ビジョンAIスターターキットの成功に基づいており、急速に発展しつつあるロボティクス・アプリケーション分野において、ロボット開発者に完全かつすぐに利用可能なソリューションを提供するものです。ロボット開発者は今や、標準の開発環境で、1時間以内に必要なインターフェイスと機能をすべて備えたプラットフォームを構築して作業を開始することができます。KR260スターターキットは、ロボティクスのイノベーションを加速し、アイデアを簡単に大規模な生産に移行させるための理想的なプラットフォームです。」
　　　　　　
市場分析会社のOmdia社によると、2019年から2025年にかけてのロボティクス・コンポーネント市場の年平均成長率（CAGR）は20.4%となり、同期間における世界市場全体での売り上げは2025年までに約1,260億ドルに増加することが予測されています。（注1）このような状況において、エンド・ツー・エンドな適応型ロボティクス・プラットフォームであるKria KR260は、競合するNvidia社のGPUベースのソリューションと比較して、生産性を約5倍も向上させることが期待されています。（注2）また、設計サイクルをチップダウン設計と比べて加速することで、Kria SOMポートフォリオは、通常、導入までの期間を最大で9カ月短縮することができます。つまり、あらゆる分野の開発者であっても、FPGAの専門知識を必要とせずに、迅速かつ容易に開発を開始できるということになります。
　　　　　　　　　
完全な産業ソリューション
KR260ハードウェア・プラットフォームには、ロボティクス・ソリューションと産業ソリューション用のインターフェイスがあらかじめ組み込まれています。AMD-Xilinxアプリストアを通じて提供されているアクセラレーション・アプリケーションと組み合わせることにより、容易な評価が可能となり、導入までのシームレスなパスを実現します。
　　　　　　　
KR260設計エクスペリエンスの柱であり、ロボティクス・コミュニティーにとってアダプティブ・コンピューティングのメリットを身近なものにしているのが、Kriaロボティクス・スタック（KRS）です。KRSとは、Kria SOMをターゲットとした産業グレードのロボット・ソリューションの開発、メンテナンス、商用化を、ハードウェアを使用して加速するためのロボット・ライブラリーとユーティリティーの統合セットです。KRSやROS 2を実装したKria SOMの低レイテンシーかつ適応型のコンピューティング・アーキテクチャーは、競合するGPUソリューションと比較して、ワットあたりのパフォーマンスを8倍以上に向上（注3）させ、最大3.5倍の低レイテンシー（注4）を実現することを可能にします。
　　　　　　
KR260はまた、広く採用されているUbuntu組み込みオペレーティング・システムにも対応しており、Canonical社が提供する最新の長期サポート（LTS）バージョンのUbuntu Linux Desktop（22.04）や、ROS 2 Humble Hawksbillとの互換性があります。
　　　　　　
AMDは、ROS 2をはじめとするロボティクス向けのオープンなソフトウェアおよびハードウェア・プラットフォームを開発するOpen Robotics社と協力し、ロボティクス・コミュニティー向けのROS 2実装の検証およびコンプライアンスの確保を行っています。
　　　　　　
Open Robotics社のCEOであるブライアン・ガーキー氏は、次のように述べています。「Kria SOMファミリーとKR260スターターキットは、ロボティクス・コミュニティーに向けてパフォーマンス、柔軟性、開発期間の短縮といった最高の組み合わせを提供します。ユーザーはソフトウェア定義のハードウェアを作成し、ワット・パフォーマンスが高く、安全かつエネルギー効率と順応性に優れたソリューションを構築できます。Open Roboticsは、AMD-Xilinxと協力してロボット開発者のニーズの理解と対応に努めるとともに、KR260開発プラットフォームでハードウェア・アクセラレーションを活用した新しいロボット・アプリケーションを構築できることを非常に楽しみにしています。」
　　　　　
　　　　　　
参考情報：
・Xilinx.com/roboticsに関する詳細
https://japan.xilinx.com/robotics
・Kria KR260の詳細
https://japan.xilinx.com/kr260
・Kria SOMの詳細
https://japan.xilinx.com/products/som/kria.html
　　　　　　
AMD
http://www.amd.com/ja-jp
　　　　　　

（注1）市場レポート：ロボティック・コンポーネント（Tractica/Omdia社）、発行日：2020年第2四半期
（注2）2021年12月1日付で、Nvidia Jetson AGX Xavier開発者キットおよびJetson Nano開発者キットから成る試験システムに対し、Isaac ROS SDK 4.6.1を使用して実施した試験、およびKria K26 SOMをベースとするKria KV260スターターキットに対し、Vitis Unified SWプラットフォーム2021.2およびKriaロボティクス・スタックを使用して実施した試験。開発時間は、ROS 2を使用したツールチェーンのセットアップ、ホストコードのクロスコンパイル、および https://github.com/ros-acceleration/acceleration_examples から入手可能な2つの関数（doublevadd_publisherおよびaccelerated_doublevadd_publisher）を実装してのアクセラレータの作成と構築から成る。
（注3）2022年2月1日付で、Nvidia Jetson AGX Xavier開発者キットから成る試験システムに対しIsaac ROS SDK 4.6.1を使用して実施した試験、ならびにKria K26 SOMをベースとするKria KV260スターターキットに対し、Vitis Unified SWプラットフォーム2021.2およびKriaロボティクス・スタックを使用して実施した試験。 https://github.com/ros-acceleration/acceleration_examples で入手可能なROS認識スタックのRectifyおよびResize関数を、KriaおよびNvidiaプラットフォーム上で高速化し、電力とパフォーマンスを測定。
（注4）2022年2月1日付で、Nvidia Jetson Nano開発者キットから成る試験システムに対しIsaac ROS SDK 4.6.1を使用して実施した試験、ならびにKria K26 SOMをベースとするKria KV260スターターキットに対し、Vitis Unified SWプラットフォーム2021.2およびKriaロボティクス・スタックを使用して実施した試験。 https://github.com/ros-acceleration/acceleration_examples で入手可能なROS認識スタックのRectifyおよびResize関数を、KriaおよびNvidiaプラットフォーム上で高速化し、実行時間を測定。