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STマイクロエレクトロニクスが超低消費電力STM32U5マイコン用の開発エコシステムを発表

2021.10.6  1:47 pm

STマイクロエレクトロニクスが超低消費電力STM32U5マイコン用の開発エコシステムを発表

STマイクロエレクトロニクスは、最新のSTM32U5マイクロコントローラ(マイコン)用開発エコシステム「STM32CubeU5」を発表しました。この開発エコシステムには、ソフトウェア・パッケージ、ツール、および評価ボードなどが含まれており、STM32U5マイコンを使用したシステム開発の期間短縮に貢献します。STM32U5マイコンは現在、STの販売代理店よりマス・マーケット向けに提供されています。
    
STM32U575およびSTM32U585マイコンは、優れた性能と電力効率を提供する最新のArm®Cortex®-M33を搭載し、革新的なセキュリティ技術と低消費電力技術を採用しています。最大2MBのFlashメモリを内蔵しており、アクティビティ・トラッカーやスマート・ウォッチといったコンスーマ向けのIoT機器や、生活家電、電力・ガス・水道メータ、産業用の検知・発信機器、携帯型POS端末、インシュリン・ポンプ、血糖値計などに最適です。
    
STM32U5マイコンは、最新の低消費電力40nmプロセス技術を使用して製造された初のSTM32マイコンで、競合製品よりも、内蔵機能、メモリ容量、動的消費電力、およびスタンバイ電力に優れています。CPUを介さずにダイレクト・メモリ・アクセス(DMA)と主要なペリフェラルを動作させることができるLow Power Background Autonomous Mode(LPBAM)など、新しい低消費電力機能も搭載されています。
また、アップデートされたART Accelerator™や、使用されていないマイコンのメモリをオフにする機能、使用の選択ができるDC-DCコンバータおよび低ドロップアウト(LDO)レギュレータなどにより、動的な消費電力を19μA/MHz未満まで低減することができます。
    
STM32U5マイコン用の開発エコシステム「STM32CubeU5」は、STのウェブサイトとGitHubから入手可能です。200以上のサンプル・プロジェクトが含まれ、LPBAM、Wi-Fi®、Bluetooth® Low Energyといった機能を活用するためのソフトウェアが提供されています。OpenBootloaderをサポートしているため、カスタムのブートローダ・コードを簡単に実装することもできます。また、Azure RTOS(ThreadX RTOSを含む)、FreeRTOSおよびCMSIS OS wrapperにより、優れた性能を確保し、産業機器向け認証取得の簡略化にも貢献します。
X-CUBE-STLパッケージで提供されるセルフテスト・ライブラリと機能安全のドキュメントは、安全性が重視されるアプリケーションの開発に貢献すると共に、STM32U5マイコンをベースにした製品のIEC61508 SIL認証取得の期間短縮に貢献します。
    
STM32CubeU5には、サイバー・セキュリティの実装を簡略化し、きわめて効率的な手法でセキュアなIoT機器の開発を行うことができるソフトウェア・パッケージが含まれています。セキュア・ブート−セキュア・ファームウェア・アップデート(SBSFU)用リファレンス・コードや、Arm TrustZone®によるコア内でのアイソレーションを活用したTrusted Firmware(TF-M)のサンプルなどを使用し、PSAレベル3およびSESIPレベル3認証取得に必要なセキュリティ機能を実装可能です。また、STの認証取得済みの暗号化ライブラリ「X-CUBE-CRYPTOLIB」がアップデートされ、よりシンプルなAPIや、暗号化アルゴリズムが追加されています。
さらに、セキュア・ファームウェア・インストール(SFI)をサポートしているため、顧客によるファームウェアのプログラミング・プロセスを保護することができます。これらのソフトウェア・パッケージは、サイドチャネル攻撃に対する保護機能の強化や、異常時に機密データを消去するための内部モニタリング機能など、STM32U5マイコンの優れたハードウェア・セキュリティ機能と連動して動作し、POSアプリケーションにおけるPayment Card Industry (PCI)の要件を満たしています。
    
STM32U5マイコンには、専用のハードウェア開発キットも用意されており、STのウェブサイトおよび販売代理店から入手可能です。IoT機器開発向けのSTM32U5 IoT Discovery Kit(B-U585I-IOT02A)は、MEMSセンサによるコンテキスト認識機能や、Bluetooth(R) LEおよびWi-Fiモジュールを搭載しています。
また、クラウド・サービスに直接接続することができ、Microsoft社およびAmazon社からリファレンス・ボードとして選ばれています。同キットの参考価格は、約65.00ドルです。
    
また、優れた拡張性を備え、柔軟に試作開発を始めることができるSTM32 Nucleoボード「NUCLEO-U575ZI-Q」、および包括的な機能を搭載した評価ボード「STM32U575I-EV」も提供されています。NUCLEO-U575ZI-Qの参考価格は約23.00ドルで、STM32U575I-EVの参考価格は約348.00ドルです。
    
STM32U5マイコンは、WLCSP(4.2 x 3.95mm)やUQFN48(7 x 7mm)、UFBGA169など、さまざまなパッケージで提供され、大量購入時の参考価格は約3.60ドルです。
    
STM32U5マイコンの詳細については、ウェブサイトをご覧ください。
https://www.st.com/ja/microcontrollers-microprocessors/stm32u5-series.html?icmp=tt23351_gl_pron_sep2021