横田英史の読書コーナー
ビル・ゲイツ自伝 1〜SOURCE CODE 起動〜
ビル・ゲイツ、山田文・訳、早川書房
2026.1.25 9:29 am
米Microsoftの共同創業者ビル・ゲイツの自伝。2025年2月のMicrosoft創業50周年に合わせて出版されたと思われる。本書は3巻から成る自伝シリーズの1冊目で、生い立ちから始め、13歳でのプログラミング体験、個人がコンピュータを購入し楽しめるようにした米MITSの「Altair 8800b」の登場、Altair Basicの開発、Microsoft(当時はMicro-Soft)創業までをカバーする。第2巻ではMicrosoftの経営、第3巻ではゲイツ財団での生活と仕事を取り上げるという。
ゲイツの著作は淡々とした筆致で退屈なものが多いが、本書はけっこう読ませる内容になっている。10年以上の調査に基づいて執筆しただけのことはある。過去の出来事がどのように相互に関連してMicrosoftの興隆につながっていったのかを丹念になぞる。
スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式でのスピーチで、「後から振り返ってみれば、過去の一見無関係な経験や点が意味のある線となってつながる」と語ったが、本書はゲイツにとっての「線のつながり」を検証しており、興味深く読み進むことができる。ゲイツが青年期に大人の世界に入り込み、ビジネス感覚を磨く過程や、自信過剰で生意気な青年に対する周囲の大人の態度は日米の差を感じさせる話である。
ゲイツが古希を迎えるなど、パソコンの黎明期を語れる当事者はどんどん少なくなっている。自慢話が鼻を突く箇所もあるが、パソコンの黎明期を知る上で、当事者ならではの情報が多く含まれた本書はお薦めである。ちなみに評者は現在、パソコンの黎明期に関する書籍を編集作業中で、この書評に若干のバイアスがかかっていることを予め断っておく。
書籍情報
ビル・ゲイツ自伝 1〜SOURCE CODE 起動〜
ビル・ゲイツ、山田文・訳、早川書房、p.400、¥2970

























