横田英史の読書コーナー
堤康次郎 〜西武グループと20世紀日本の開発事業〜
中公新書、老川慶
2024.4.29 8:26 am
滋賀県出身の堤康次郎が、軽井沢や箱根などの別荘地の開発、大泉学園や国立などの学園都市の開発、百貨店やレクリエーション施設の立ち上げ、鉄道や自動車道の敷設といった事業をどのように始め、どのように拡大していったかを資料に基づき丹念に追った書。阪急の小林一三や東急の五島慶太の評伝と同様、新中間層(サラリーマン)の誕生や都市人口の増大などで伸び盛りだった近代日本の活気や熱気を感じさせてくれる。
本書の特徴は、堤が事業を拡大している時代のデータを豊富に盛り込んでいるところ。統計データや地図、写真などは見るだけで楽しめる。ただし「土地の堤」の実像に焦点を当てていることもあって、政治家や家庭人としての堤にはほとんど触れていない。堤清二や堤義明との関係について最後に少し言及している程度である。「ピストル堤」と「強盗慶太(五島慶太)」のライバル対決といった派手なエピソードを期待するとがっかりするかもしれない。
書籍情報
堤康次郎 〜西武グループと20世紀日本の開発事業〜
中公新書、老川慶、p.384、¥1320

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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