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横田英史の読書コーナー

記者のためのオープンデータ活用ハンドブック

熊田安伸、新聞通信調査会

2023.1.29  11:18 am

 オープンデータの収集法と活用法を解説した書。基本テクニックだけではなく、裏技についても紹介する。新聞や雑誌の調査報道の裏側を知ることができるところも本書の特徴である。基本的にジャーナリスト向けの書だが、マーケティングや資料作りなどにも応用可能な情報も盛り込んでいる。ビジネスパーソンにも十分有用なので一読の価値がある。
    
 本書は民間企業や個人、公的法人の情報、国や地方自治体の事業、入札情報、自動車/航空機/船舶事故などの情報を掲載したサイトや文献などを紹介する。消去されたサイトの情報を復活させる方法やアンケートの手法にも触れる。最後に、この書評で紹介したべリングキャットに代表されるOSINT(Open Source INTelligence)と呼ぶ新たな報道手法を論じる。評者にようなメディアの人間にとって、参考になる情報が満載である。ちなみに筆者は、NHKで調査報道に取り組んだ元記者で、現在はジャーナリストの育成を手がけている。

書籍情報

記者のためのオープンデータ活用ハンドブック

熊田安伸、新聞通信調査会、p.237、¥700

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。