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横田英史の読書コーナー

問いかける技術〜確かな人間関係と優れた組織をつくる〜

エドガー・H・シャイン、原賀真紀子・訳、英治出版

2021.6.6  2:31 pm

 良好な人間関係やコミュニケーションのための書。組織心理学の第一人者が、良好な人間関係の構築における適切な質問と問いかけとは何かを論じる。この書評で取り上げた「問いのデザイン〜創造的対話のファシリテーション〜」と同様と勘違いして購入したが、本書自体の内容は悪くない。お互いを尊重しながら言いたいことを率直に伝える「アサーション」といった話題も取り上げる。リーダーシップを発揮しなければならない方々に向く。
   
 筆者は、人間関係の構築よりも課題の遂行に価値を置き「自分が話す」ことを重視する米国のビジネスパーソンを意識する。謙虚に問いかけること、聞く耳を持つことの重要性を説く。具体例が多いのも特徴である。例えば、陸上のリレーで相手のことを見ながら速度を緩めバトンを渡すことの重要性を事例として取り上げる。結果として、日本的な感覚としては当たり前と思われる指摘も少なくない。

書籍情報

問いかける技術〜確かな人間関係と優れた組織をつくる〜

エドガー・H・シャイン、原賀真紀子・訳、英治出版、p.240、¥1870

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。