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横田英史の読書コーナー

ルポ西成〜七十八日間ドヤ街生活〜

國友公司、彩図社

2018.12.20  10:08 am

 筑波大学を失業したばかりでフリーライター志望の著者が、大阪市西成区のあいりん地区に乗り込み、働き、住み、住民たちと交流した78日間を詳細にするしたルポルタージュ。朝の闇市、ヤクザ、オカマ、売人、覚醒剤中毒者、日雇い労働、生活保護受給者と彼らをターゲットにしたビジネスなど、あいりん地区の知られざる実態を明らかにする。

 軽い文体で何だかなぁと思うところもあるが、筆者の体当たり取材のおかげで中身はけっこう濃い。低い目線から生活保護受給者の実態やドヤ街における衣食住、貧困ビジネスを克明に綴っており、日本社会の一面を知る上で貴重な情報を提供している。貧困問題に興味をお持ちの方にお薦めの1冊である。

書籍情報

ルポ西成〜七十八日間ドヤ街生活〜

國友公司、彩図社、p.244、¥1620

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。