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横田英史の読書コーナー

近代日本のリーダーシップ~岐路に立つ指導者たち~

戸部良一ほか、千倉書房

2014.8.13  1:39 pm

 明治以降の日本の指導者を個々に取り上げるほか、リーダーシップに関する理論的な研究に言及した書。近代以降の日本人が指導者なるものに、どのようなイメージをもち、どう論じ、評価してきたかを検証している。西郷隆盛や伊藤博文、浜口雄幸といった有名どころだけではなく、加藤高明や近衛文麿、宇垣一成、鈴木貫太郎らにも光を当てる。戦後では沖縄返還と非核三原則をめぐる佐藤栄作を中心に論じる。平和運動における吉野源三郎を取り上げているところがユニークである。

 個人的には、馴染みのなかった加藤高明、鈴木貫太郎、近衛文磨の論考が興味深い。加藤高明については、第一次世界大戦への早期参戦を主導した外相としてのリーダーシップを論じる。日本が紛争の当事国ではなく、戦争に加わる必然性がなかったにもかかわらず、時の政権の政治決断によって参戦したところが、他の対外戦争に比べて大きく異なっている。この参戦の決断の過程をたどることで、リーダーシップの在り方を示す。近衛については、終戦から自殺に至るまでの言動、自殺の背景などを分析することで、危機の時代の政治指導者の在り方を検証している。先見性に言及し、近衛の“強さ”や“積極性”に言及しているところが興味深い。

書籍情報

近代日本のリーダーシップ~岐路に立つ指導者たち~

戸部良一ほか、千倉書房、p.464、¥3672

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。