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横田英史の読書コーナー

絶対に受けたくない無駄な医療

室井一辰、日経BP社

2014.8.11  1:38 pm

 米国の専門医の団体ABIM財団が中心となり、米国医学会の71学会が無駄な医療を公表するキャンペーン「Choosing Wisely」。本書は、医療ジャーナリストが非推奨とされた医療250以上のなかから100項目を選んで整理・解説したもの。日本で一般に行われている医療行為も数多く含まれている。評者が受けた医療行為も少なくない。ちなみにChoosing Wiselyには、全米の意思の80%が所属学会を通して参加しているという。現時点で“無駄”とされている医療なので、今後の臨床や研究によっては判断が変わる可能性もあるが、知っていて損のない話がてんこ盛りの1冊である。

 本書は大きく三つのセクションから成る。第1部「こんな医療では治らない!」では、無駄が無駄を呼ぶ5つの背景やわざわざ病気を作り出す医療業界の現状などを解説する。実例を挙げて説明を進めており、分かりやすい。第2部は「受けたくない医療100」。癌を中心に、米国の専門医が無駄と判断する医療の数々を紹介する、有名な「前立腺がんの検診のために安易に『PSA検査』をしない」から始まり、「肺癌のCT検査は、ほとんど無意味である」「大腸の内視鏡検査は10年に1度で十分である」「6週間以内の腰痛には画像診断をしても無駄である」「4歳以下の子供の風邪に薬を使ってはいけない」などを取り上げる。最後の第3部は提言である。「無駄撲滅運動は日本でも広がるか」と題して、医師と患者の事情に論じている。

書籍情報

絶対に受けたくない無駄な医療

室井一辰、日経BP社、p.268、¥1512

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。