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横田英史の読書コーナー

日本企業はモノづくり至上主義で生き残れるか ~「スーパー現場」が顧客情報をキャッシュに変える~

フランシス・マキナニー著、倉田幸信・訳、ダイヤモンド社

2014.8.7  6:01 pm

 中村邦夫(カーク中村)時代にパナソニックの「聖域なき構造改革」に携わった米国のコンサルタントが、「日本企業がグローバル競争力を回復するためになすべき10のこと」と題して、日本企業への提言を行った書。パナソニックだけではなく、NECや日立製作所、富士通、NTTドコモなどでもコンサルティングを行っているだけに、日本企業の弱点を突いた提言になっている。「クラウド時代のモノづくり」「スーパー現場」といった興味深い視点も含み、ビッグデータやIoTといった現状を上手に組み込んでおり、役立ち感のあるビジネス書に仕上がっている。

 クラウド時代の企業経営の要諦は、競合他社より先に顧客情報をキャッシュに変えることだと著者は主張する。製品自体ではなく、顧客とのやりとりするプロセスこそが、現在のすべての市場における利益の源泉となる。iTunesやiCloud、Apple Storeといった顧客接点を有効活用する米アップルの先進性を筆者は高く評価する。一方で製品にこだわり、顧客接点の貧弱な日本企業はどうしても後手に回ってしまう。

 クラウド、ビッグデータ、IoTの時代には、二つの作業が重要になると説く。一つは、いかに多くの顧客情報を自社のオペレーションに組み込むか。まずは現場をスーパー(特大)サイズに拡大することが不可欠になる。もう一つは、その顧客情報をいかに素早くキャッシュ化するかである。そのためには、ITとビッグデータを整備しなければならないと筆者は断言する。

書籍情報

日本企業はモノづくり至上主義で生き残れるか ~「スーパー現場」が顧客情報をキャッシュに変える~

フランシス・マキナニー著、倉田幸信・訳、ダイヤモンド社、p.300、¥1944

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。