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イーソル、OTSL、京都マイクロコンピュータ、エヌエスアイテクスが NEDO委託事業の成果をRISC-V向けのOSおよび開発ツールソリューションとして事業展開を強化

2022.6.2  5:55 pm

NEDO委託事業「セキュアオープンアーキテクチャ向けコンパイラバックエンドおよび対応ランタイム環境の設計・開発」に係る事業化に向けた取り組みとしてRISC-Vコア向けOS及び開発ツールの市場投入を見据えた開発を推進中

イーソル株式会社(本社:東京都中野区)は、株式会社OTSL(本社:愛知県名古屋市)、京都マイクロコンピュータ株式会社(本社:京都府京都市)、株式会社エヌエスアイテクス(本社:東京都港区)と共同で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)の委託事業である「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発事業/革新的AIエッジコンピューティング技術の開発/セキュアオープンアーキテクチャ基盤技術とそのAIエッジ応用研究開発/セキュアオープンアーキテクチャ向けコンパイラバックエンドおよび対応ランタイム環境の設計・開発」(以下、本事業)を2020年7月からスタートし、2021年度末までに基本的な仕様設計や試作を行いました。
2022年度は機能検証や性能評価を中心に研究を進め、更に本事業の委託期間終了後である2023年度以降には本事業の研究成果を基に、各企業において具体的な事業化を進めています。
       
本事業では、急成長が見込まれるオープンなプロセッサIPであるRISC-Vコア向けに現存する開発環境をベースに、ユーザから必要とされている要件を成立させるために現在不足しているOSや開発ツールの開発と実証評価を行います。特に組込みシステムで競争力を発揮するために重要となる処理効率・リアルタイム性を確保することを重視しています。
本事業終了後の事業化としては、技術サポートを含むOSや開発ツールの市場へのリリースを各企業が個々に行うだけでなく、共同研究により強化した技術連携を活かし国内外の組込みシステムを開発する機器メーカー等におけるRISC-Vの利活用を強力に支援していきます。
       
本事業は、既存のRISC-V開発環境に対して国内活用の観点で不足しているOSや開発ツール面での機能を開発すると共にRISC-Vの標準への採用を働きかけ、世界的なオープンアーキテクチャの普及促進を図るものです。また、本プロジェクトを国内の有力組込みツールベンダを中心に推進することにより、急成長が見込まれるオープンなプロセッサIPであるRISC-Vの国内ベンダエコシステムを牽引していきます。
        
イーソルは、組込みシステムに必要とされかつRISC-Vの標準・環境で不足しているRISC-Vに最適化されたマルチコア対応の高性能RTE (OS)の設計・開発およびイーソルの並列化支援ツールであるeMBP®のRISC-V対応開発を行っています。当初の計画通り昨年度までにRISC-Vシミュレータを用いた基本開発を完了し、実ハードウェアへの対応および評価を進めています。今後は市場投入を見据え拡張開発を継続し、実用化に向けた取り組みを強化していきます。
        
イーソル株式会社 専務取締役 CTO 兼 ソフトウェア事業部 事業部長 権藤正樹のコメント
「弊社のコア技術であるOSを基軸にしつつ、ミドルウェアおよび開発ツール群を本プロジェクトの各社と技術面のみならず事業面での連携も強化していくことで、RISC-Vエコシステムを充実させ、弊社がチェアを務めるIEEE2804を始めとする標準化活動を含め、市場の期待に応えていきます。」
       
OTSLは、RISC-V、周辺デバイスに関わるハードウェアIPおよびRTEの研究・開発を行っています。既にRTEおよびPoCシステムの開発を完了し、機能強化、性能評価を進めています。今後はRTEの一部のオープンソース化、ユーザコミュニティの形成のサポート、RISC-V、周辺IPなどの製品化を行っていきます。
       
株式会社OTSL システム開発第2事業部 事業部長 中村 和夫のコメント
「OTSLは、本プロジェクトの成果である、ソフトウェアプラットフォームを通じて、プロジェクト参加企業とともに、今後のRISC-Vのマーケットがさらに拡大していくことを期待しています。」
        
京都マイクロコンピュータでは、ベクトル化を含むRISC-V RVVに対応したC言語コンパイラ及びツールチェインの研究・開発を行っています。またこのコンパイラは共同研究各社のRTEとも連携しており、現在各社において試作版を評価中です。本事業の最終年度となる今年度はRTE/コンパイラ連携デバッグ機能評価を行うとともに、今後のRISC-V/Vector Extensionに対応したコンパイラを含む開発ツールの製品化を見据え、性能、品質、使い勝について実用化に向けた評価も行っていきます。
       
京都マイクロコンピュータ株式会社 代表取締役 山本彰一のコメント
「京都マイクロコンピュータは本事業を通して、自社のお客様だけでなくRISC-Vコミュニティの一員として開発環境の整備・発展に幅広く貢献できることを大変喜ばしく感じています。」
        
エヌエスアイテクスは、組込みシステム向け並列プログラミング環境の研究開発を担っており、現在は可変長ベクトル命令(RVV)に対応するOpenCL, SYCL処理系の評価を行っています。将来的に自社IPとこれらの並列プログラミング環境をバンドルして製品化する事を見据え、本事業を推進しています。組込み市場において、PCやGPUと親和性の高い標準化されたクラスプラットフォームの並列プログラミング環境を実現する事でソフトウェア資産の移植性とROI確保に貢献していく予定です。
        
株式会社エヌエスアイテクス 取締役 CTO 杉本英樹のコメント
「組込み業界で実績のある3社と共に本事業を進められる事を喜ばしく思っております。組込み業界におけるRISC-Vの重要性は日増しに高まっています。本事業を通じてランタイム環境、コンパイラ基盤、マルチコア対応並列化ツール群を整備する事で、商用利用に耐え得るソフトウェア環境がRISC-Vにももたらされる事に期待をしています。」
       
       
イーソル株式会社 https://www.esol.co.jp/
株式会社OTSL https://www.otsl.jp/
京都マイクロコンピュータ株式会社 https://www.kmckk.co.jp/
株式会社エヌエスアイテクス https://www.nsitexe.com/