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三菱電機株式会社のデジタルコックピット にグリーン・ヒルズ・ソフトウェアが搭載

2022.5.31  3:46 pm

三菱電機株式会社のデジタルコックピット にグリーン・ヒルズ・ソフトウェアが搭載

安全でセキュアなINTEGRITYオペレーティング・システムはADAS、キャビンの安全性、および拡張現実ユーザー体験を特徴とする次世代デジタルコックピットソフトウェアを実行および保護します。
      
グリーン・ヒルズ・ソフトウェア(本社: 米カリフォルニア州サンタバーバラ)は、三菱電機株式会社が新たに発表したInca Jayデジタルコックピットを実行、保護する高性能な安全・安心ソフトウェア基盤としての役割を担うことを発表しました。Inca Jayデジタルコックピットは、先進運転支援システム(ADAS)、キャビン・セーフティ、拡張現実ユーザー体験(UX)を特徴としています。
三菱電機は、Inca Jayのソフトウェアを安全かつセキュアに実行および保護し、Qualcomm® 3rd Generation Snapdragon® Cockpit Platformの性能を活用するために、グリーンヒルズのINTEGRITY®リアルタイムOS(RTOS)を採用しました。Inca Jayにより、OEMは、安全性、セキュリティ、拡張現実(AR)を駆使したユーザー体験を強化した次世代の車両デジタルコックピットの開発を可能にします。
             
自動車のコックピットで使用される安全性と利便性を高めるソフトウェア・アプリケーションの数が増え、複雑化するにつれ、OEMは、十分なプロセッサ性能を供給すると同時に、より多くの異なる種類のアプリケーションを同じプロセッサ上に組み合わせつつ、重要な機能に対する干渉のないことを保証しなければならないという困難な問題に直面しています。さらに、OEMは何百万行ものコードを開発・統合するための時間とコストを削減する必要があり、高度なソフトウェア開発ツールが必要とされています。
       
三菱電機オートモーティブ・アメリカ社のエンジニアリング担当副バイスプレジデントで、三菱電機オートモーティブ・アメリカが新たに設立したアドバンスト・エンジニアリング部門であるフィラメント・ラボの責任者でもあるMark Rakoski氏は、次のように述べています。
「業界をリードするグリーン・ヒルズ・ソフトウェア社と協力して、Inca Jayデジタルコックピットを開発できたことを嬉しく思います。Inca Jayは、INTEGRITY RTOSの信頼できる実行プラットフォームに依存しており、当社の開発者は、MULTI®統合開発環境を使用して、より高い性能と生産性を達成しています。グリーン・ヒルズ・ソフトウェアとのコラボレーションにより、Inca Jayは、自動車におけるコネクティビティとユーザビリティの未来を形作ることができるソリューションを提供することができました」
       
ASIL認証のINTEGRITY RTOSは、Inca Jayアプリケーションのリアルタイムリソース、フェイルセーフタイミング、悪意のあるソフトウェアや誤動作からの保護を保証している、安全でセキュアなソフトウェア実行プラットフォームです。INTEGRITY Multivisor® 仮想化ソリューションは、Androidインフォテインメント機能を、安全性とセキュリティが重要な機能から分離されている保護されたソフトウェアパーティション内で、同じプロセッサを共有しながらも安全かつセキュアに実行します。
このようにソフトウェアを統合することで、認証コストを削減し、複雑さを軽減することができます。先進の統合開発ツールMULTIでソフトウェアを構築、テスト、最適化することで、三菱電機の開発者は最も難しいソフトウェアのバグをより早く発見し修正することができ、開発時間とコストを削減しながらコードの品質を向上させることができました。
      
三菱電機のデジタルコックピットInca Jayは、先進的な機能を搭載しています。

  • ドライバーモニタリングシステム(DMS)は、車載の近赤外線カメラを活用し、顔の表情や脈拍・呼吸数などの身体情報からドライバーの眠気や急病を検出します。また、フェイストラッキング技術や画像処理技術により、車両の振動や周囲の明るさの変化があっても、心拍の変化による肌色のわずかな変化を検出します。体調の異常を検知した場合、ドライバーに停止を促して休息を取らせさせたり、他のシステムに通知して自動緊急駐車をすることができます。また、子どもを車内に放置した場合、毛布にくるまっていたり、足元に倒れていたりとカメラの死角になる場合でも子どもの存在を車内センサーが検知し、ドライバーや近くにいる人に注意を促します。
  • HDL(High-Definition Locator)は、DMSと組み合わせることで、より安全な夜間走行のためのアダプティブ・ディレクショナル・ヘッドライトを提供します。HDLを拡張現実と組み合わせることで、センターディスプレイに位置情報や決済サービス、駐車場やランドマークを表示することが可能となります。さらに、クレジットカード情報をスキャンして保存することで、簡単に決済を行うことができます。
  • ARグラフィックスオーバーレイ:ASIL B認証を取得したインストルメントクラスターとセンターコンソールには、TomTom Navigation for Automotiveのカスタムバージョンによって、直感的なナビゲーションガイダンスと位置情報サービスを表示するARグラフィックスオーバーレイが搭載されています。

グリーン・ヒルズ・ソフトウェアのビジネス開発担当バイスプレジデントのDan Menderは、次のように述べています。
「三菱電機がグリーンヒルズの技術を採用し、先進のデジタルコックピットや安全技術のための安全で確実な基盤として、当社の経験が生かされたことを大変喜ばしく思っています。高性能なARグラフィックスとキャビンの安全機能を備えたシステムクリティカルな機能を高い信頼性をもって実行することは、コックピットの重要な要件です。グローバルな自動車業界のお客様は、次世代セーフティクリティカルなデジタルコックピットのコストと導入期間を削減しながら、これらの強化された機能を実現することができます」
    
グリーン・ヒルズ・ソフトウェア
www.ghs.com/japan/index.html