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VESAがEmbedded DisplayPort Standard Version 1.5を発行

2021.11.1  1:07 pm

eDP 1.5は、Adaptive-Syncのサポート強化を含む新機能とプロトコルを追加し、さらなる省電力化、ゲームやメディア再生のパフォーマンス向上を実現

Video Electronics Standards Association(VESA®)は、Embedded DisplayPort(eDP)仕様のバージョン1.5を発行したと発表しました。eDP 1.5は、2015年に発行されたeDP 1.4bに代わるもので、従来仕様の主要機能をすべて維持しつつ、新たな機能と性能を追加しています。eDP 1.5では、パネル・セルフリフレッシュ・プロトコルの改良や、VESAのAdaptive-Syncプロトコルの強化などにより、省電力化と動画品質の向上が図られています。
     
eDPは、ディスプレイを内蔵したノートPCなどの機器において、システムのグラフィックスハードウェアから内部のディスプレイパネルに映像データを伝送するための、電気的なインターフェースです。eDPは、少ない配線数で最高の解像度、リフレッシュレート、色深度を実現し、EMI放射量も少ないため、大型で高解像度のディスプレイに広く採用されています。eDPの用途には、ノートPC、オールインワンPC、高性能タブレット、車載用ディスプレイなど、ディスプレイパネルにビデオやグラフィックスの映像ソースを搭載するシステムが挙げられます。

VESAがEmbedded DisplayPort Standard Version 1.5を発行

電力最適化の向上
eDP 1.5は、従来仕様と同様に、規格の主要な省電力機能であるパネル・セルフリフレッシュに対応しています。パネル・セルフリフレッシュでは、システムの他の部分が低電力のスタンバイ状態になっている間に、静的な画面イメージがディスプレイメモリに保存されます。必要に応じてシステムを一時的に起動し、ディスプレイの一部または全部を更新することができます。これにより、一般的なPCやタブレットを使用するアプリケーションにおいて、大幅な省電力化を実現しています。eDP 1.5では、パネル・セルフリフレッシュ機能がさらに最適化され、強化されたパネルリプレイプロトコルが追加されました。これにより、さらなる省電力化と、Adaptive-Syncとの互換性を含むディスプレイ性能の向上を実現します。
     
また、eDP 1.5で開発された新しいプロトコルには、通常の動作時(パネルのセルフリフレッシュを使用しない場合)に、垂直ブランキング期間中にディスプレイインターフェースを無効にする機能が含まれており、これによりさらなる省電力化を実現しています。さらに、eDP 1.5では有機ELパネルなど、フレームバッファを必要としない低リフレッシュ機能を備えた新しいタイプのパネルをサポートしています。
    
ゲームやメディア再生のパフォーマンス向上
eDPはこれまでも、省電力のためのAdaptive-Syncや、ゲームのためのフレームレートコントロールをサポートしてきましたが、eDP 1.5では新たにAdaptive-Sync機能を追加しました。映画やビデオストリーミングの再生では、新しいプロトコルが追加され、フレームのスキップや繰り返しを防ぐために小さなフレームレートの調整が可能になりました。また、ゲーミングシステムに採用されているワイドフレームレート対応のパネルでは、表示のちらつきを抑えるための新たな仕組みが追加されています。
     
eDP 1.5は、従来仕様と同様に、VESAのDisplayHDRおよびDisplayHDR True Black仕様の利用をサポートしており、これらの規格が保証する高い色とコントラストの精度を備えた、鮮やかで活き活きとしたハイ・ダイナミックレンジ(HDR)コンテンツを、組み込み用ディスプレイアプリケーションに提供します。
     
DisplayHDRに関するVESAタスクグループの議長であり、インテル・コーポレーションでHDRディスプレイ技術部門の代表を務めるローランド・ウースター(Roland Wooster)氏は、次のように述べています。
「インテルは、eDP 1.5がノートPCのお客様にもたらすメリットに期待しています。プレミアムノートPC向けのeDP 1.5では、ジッターフリーのビデオ再生や低遅延ゲームを可能にするAdaptive-Syncと、大幅な省電力化を実現するパネル・セルフリフレッシュの同時使用をサポートします。パネル・セルフリフレッシュに必要なリモートフレームバッファを持たないコスト重視のノートPCの場合、eDP 1.5ではフレーム間でGPUを一時的にパワーダウンさせることで省電力化を実現します。作業量に応じてフレームレートを調整する機能と組み合わせることで、一層の省電力化を可能とします」
    
Parade Technologies社のマーケティング担当シニアディレクターで、VESAのボードメンバーとして複数のVESA技術委員会の委員長ならびにeDP規格のエディターであるクレイグ・ワイリー(Craig Wiley)氏は、次のように述べています。
「Embedded DisplayPortは、特に1080p以上の解像度を持つ大型の組み込みディスプレイのビデオ規格として、ほぼすべてのノートPC、ノートブック、高級タブレットに採用されています。今回のeDPのアップデートは、システムベンダーやコンポーネントベンダーが協力して開発したものであり、グラフィックプロセッサやディスプレイ機能の将来の方向性に沿ったものとなっています。さらに、VESA内で行われることにより、eDPは、DisplayHDRやDSC(Display Stream Compression)などの他のVESA規格や、Adaptive-Sync、Panel Replay、DisplayIDなどの様々なDisplayPortプロトコルを搭載しています。また、eDPは外部ディスプレイに使用されているSoCのビデオインターフェースを利用することも可能であり、バッテリー寿命を大幅に延ばすための特別なエンベデッドディスプレイプロトコルも提供しています」
    
     
VESAについて
Video Electronics Standards Association (VESA)は、エレクトロニクス産業の発展と促進を目的とした、ハードウェア、ソフトウェア、コンピュータ、ディスプレイ、コンポーネントのメーカー300社以上が加盟する国際的な非営利標準化団体です。VESAは30年にわたり、今日の映像・エレクトロニクス産業のために、シンプルで普遍的な製品横断的ソリューションを創造し、サポートしてきました。VESAの規格には、DVI、LVDS、VGAに代わるDisplayPort™があります。DisplayPortは最先端のデジタルプロトコルを利用しており、驚異的なデジタルディスプレイ体験を可能にする拡張可能な基盤を提供しています。
http://www.vesa.org/