横田英史の読書コーナー
琉球処分-「沖縄問題」の原点
塩出 浩之、中公新書
2025.8.26 6:53 am
琉球王朝が日本に併合され沖縄県になるまでの過程をつぶさに追った書。なぜ、どのようにして琉球王朝は滅ぼされ、沖縄(日本)になったのかを史料に基づき明らかにする。寡聞して知らなかったが「琉球処分」は立派な歴史用語で、日本史において画期といえる出来事だった。清や西洋諸国を巻き込みながら、19世紀後半の東アジアにおける世界秩序の大きな流れを形作った国際紛争だったという。
筆者は、琉球処分で起こった琉球救済運動が、沖縄の人々の政治運動や社会運動の出発点と位置づける。沖縄処分は、「沖縄問題」原点であると断言する。かつて琉球王朝は、中国(清)と日本のあいだで政治的。経済的なバランスをとりながら存続していた(日中両属という)。それを日本の維新政府が、1972年に琉球藩の設置、さらに処分官の派遣、警察や軍隊の動員などに動き、1979年の沖縄県の設置を経て、強制的に併合した。
この間、日清両政府が琉球分島案を検討するなど大きく揺れた。ちなみに琉球分島案は大きく2つあり、日本は2分案(沖縄島以北を日本、宮古・八重山諸島を清)、清は3分案(宮古・八重山諸島を清、久米島・沖縄島を日清共同管理、奄美大島を日本)を推したという。
書籍情報
琉球処分-「沖縄問題」の原点
塩出 浩之、中公新書、p.256、¥1100

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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