Electronics Information Service

組込みシステム技術者向け
オンライン・マガジン

MENU

横田英史の読書コーナー

人間の測りまちがい〜差別の科学史〜(下)

スティーヴン・J・グールド、鈴木善次・訳、森脇靖子・訳、河出文庫

2025.8.3  6:45 am

 知能テストをはじめ、科学の体裁をとりながら人間の知能を測って数値化することの妥当性を検証するとともに、遺伝と関連付けて知性は終生変わらないと断じることを糾弾した書。人種差別や移民制限、女性差別、優生学的な産児制限を裏付ける“科学的”証拠として政治的に利用されてきた歴史を明らかにする。著者は進化論の第一人者の進化生物学者で科学史家。科学の在り方に関心を持つ方にお薦めの1冊である。
   
 知能テストには怪しい4つの前提があるという。まず知能は単一の数値として表されるはずという前提、第2にその数値によりひとを直線的な序列でランクづけられるという前提、第3に遺伝に基づいているという前提、第4に不変であるという前提である。筆者はこうした前提に疑問を投げかけ、問題点を次々に明らかにする。

書籍情報

人間の測りまちがい〜差別の科学史〜(下)

スティーヴン・J・グールド、鈴木善次・訳、森脇靖子・訳、河出文庫、p.、¥

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。