横田英史の読書コーナー
過疎ビジネス
横山勲、集英社新書
2025.7.25 8:20 am
都会のコンサル企業が過疎にあえぐ小さな地方自治体に言葉巧みに近づき、公金を食い物にする「過疎ビジネス」の実態を明らかにした書。まさに「コンサル栄えて、国滅ぶ」である。併せて、地域の重要施策をコンサル企業に丸投げし、問題が発覚すると責任逃れに終止する「限界役場」の姿にも言及する。2022年から2024年にかけて河北新報が報じた記事をベースにしたノンフィクションである。地方創生の暗部を知ることのできるお薦めの1冊に仕上がっている。
筆者が過疎ビジネスを報じるキッカケになったのは、福島県国見町で発覚した「企業版ふるさと納税」を巡る不可解な事業である。企業版ふるさと納税を利用した企業は、法人税なから寄付金額の最大90%の控除を受けられる。DMM.comグループはこの制度を利用し、4億3200万円を国見町に匿名で寄付した。この寄付を原資に国見町が打ち上げのが12台の高規格救急車のリース事業だが、この事業を受注したのがDMM.com傘下の救急車ベンチャーの「べリング」。DMM.comグループ丸儲けのスキームといえる。しかも高規格救急車の仕様作成にはべリング社が関与しており、絵に描いたような出来レースである。
この舞台回しに暗躍したのが地方再生コンサルティングを手がけるワンテーブル社。地方創生界隈に食い込んで、小さな自治体を食い物にする。ワンテーブルの元社長は、「無視されるちっちゃい自治体がいいです。誰も気にしない自治体」「(地方議員)雑魚だから。俺らのほうが勉強しているし、分かっているから。言うこと聞けっていうのが本音じゃないですか」とうそぶく。
書籍情報
過疎ビジネス
横山勲、集英社新書、p.280、¥1100

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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