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横田英史の読書コーナー

社会学の新地平〜ウェーバーからルーマンへ〜

佐藤 俊樹、岩波新書

2024.1.9  6:34 pm

 近代資本主義の精神を追究したマックス・ウェーバーとウェーバーの系譜を連なるニクラス・ルーマンの産業社会に関する研究をベースに、「社会学とは何か」を紹介した啓蒙書。ウェーバーの代表作である「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を俎上に上げ、資本主義にとって組織とは何か、産業社会の成立の条件は何か、近代資本主義のバックボーンとなるピューリタンリズムの存在など、ウェーバーの研究の意味や意義を詳細に解説する。資本主義の在り方が問われている現在、原点に戻るのも悪くない。
     
 興味深かったのはウェーバーの研究そのものよりも、研究の進め方、調べ方である。ウェーバーは社会学に数理や確率、計量の考え方を導入し、論考に「平均的」「機会」といった確率的な表現を用いたという。
      
 ウェーバーとルーマンの研究の解釈が中心なので、タイトルの「新地平」に惹かれ、新しさを期待して購入すると失望しそうだ。ちなみに評者は、「職業としての学問」や「職業としての政治」を繰り返し読んだが、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」は未経験。本書で繰り広げられる議論は、それなりに刺激的で新鮮だった。

書籍情報

社会学の新地平〜ウェーバーからルーマンへ〜

佐藤 俊樹、岩波新書、p.320、¥1276

横田 英史 (yokota@et-lab.biz)

1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。

*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。