横田英史の読書コーナー
ChatGPTと語る未来〜AIで人間の可能性を最大限に引き出す〜
リード・ホフマン、GPT-4、日経BP
2023.7.20 6:41 pm
米Linkedinの共同創業者で、OpenAI元取締役のリード・ホフマンと“GPT-4”の共著。ホフマンが繰り出す「教育」「クリエイティビティ」「ジャーナリズム」「仕事」など、生成AIの影響を受ける10分野に関するプロンプトにChatGPTに答える体裁をとる。「AIが最も良い方向に舵を切るには、前向きな視点が必要」など米国人らしい楽観性で貫かれており、シリコンバレーのスタートアップの考え方がよく反映されている。
筆者は、大規模言語モデルをベースにしたAIについて、「1980年代のLotus、Word、Photoshopなどの21世紀バージョンに進化する」「個人が自分の考え方や価値観、個性や創造性を時空を超えて発信するために使うメディアの仲間入りする」「フォードのTモデルやAppleIIを受け入れたときと同じような気持ちで受け入れるべき。革新的な技術はつねに未来の仕事を生み出した。きっと今回も変わらないはず」と語る。
一方で、生産性を最大限引き出すには人間の注意、好奇心、責任を必要とすると主張する。さらに透明性の確保や人間による継続的な監視、人間とAIが互いに補い合うことの重要性を繰り返し説く。目をむくような斬新さはないが、企画の面白さもあり、玉石混交のChatGPT本のなかでは読んで損のない1冊である。
書籍情報
ChatGPTと語る未来〜AIで人間の可能性を最大限に引き出す〜
リード・ホフマン、GPT-4、日経BP、p.248、¥1980
横田 英史 (yokota@et-lab.biz)
1956年大阪生まれ。1980年京都大学工学部電気工学科卒。1982年京都大学工学研究科修了。
川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て、1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社。日経エレクトロニクス記者、同副編集長、BizIT(現ITPro)編集長を経て、2001年11月日経コンピュータ編集長に就任。2003年3月発行人を兼務。
2004年11月、日経バイト発行人兼編集長。その後、日経BP社執行役員を経て、 2013年1月、日経BPコンサルティング取締役、2016年日経BPソリューションズ代表取締役に就任。2018年3月退任。
2018年4月から日経BP社に戻り、 日経BP総合研究所 グリーンテックラボ 主席研究員、2018年10月退社。2018年11月ETラボ代表、2019年6月一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)理事、現在に至る。
記者時代の専門分野は、コンピュータ・アーキテクチャ、コンピュータ・ハードウエア、OS、ハードディスク装置、組込み制御、知的財産権、環境問題など。
*本書評の内容は横田個人の意見であり、所属する企業の見解とは関係がありません。
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